東京都荒川区の円通寺を見てきました。
最寄り駅はJR常磐線の南千住駅。
もしくは都電荒川線の終点、三ノ輪橋駅。
下町的雰囲気の都電に乗って向かうと、お寺が立つ街の雰囲気を味わえます。
駅からしばらく歩くと、突如ニョッキリ顔を出すナゾの建物。
裏側からアクセスすると擁壁に埋め込まれたお地蔵様があったり、狭隘な環境が味わえます(笑)
境内は狭いながらも桜が見ごろでした。
なんといっても最大の特徴はその仏塔のようなタワー。
お寺の和尚さん自ら設計されたとか。
倉方俊輔氏の著書、ドコノモンでも紹介されていたぶっとび建築です。
ドコノモンとは地域性を感じられない、創作料理のような謎建築のことです。
正面は梵鐘の形を屋根化したオブジェが3つのり、中央に仏塔のようなタワーがそびえます。
下の建物も外部階段とセットバックしていくテラスの効果でマッシブな印象。
仏塔にはダメ押しとばかりにFRP製の観音像が貼り付けています。
デザインは高村光雲氏だとか。
デザインした和尚さんは宗教を感じられるシルエットにしたとのこと。
しかし印象はむしろ東南アジアに見られるような安っぽい仏教建築に近いです。
完全にワンダージャパン(B級スポットを紹介する雑誌)の世界。
実際コスト削減を徹底したという設計は気合が入ってるのは正面のみで、裏面はこの通り。
4階建ての仏塔的に基壇部分、お寺的には建物部分は外部階段を使って登れます。
昭和の建築らしい、避難階段として認められそうにない狭い階段。
欄干などのお寺っぽい飾りは全てコンクリート製。
丹下健三の香川県庁舎の影響を感じますが、逆にペンキの色合いが蛍光っぽくてよりキッシュさを感じます。
やたら人に馴れたカラスも下町的。
人の往来が少ないので、カラスには憩いの場かも。
仏塔の側面には将棋の駒のような形状のレリーフが並んでいます。
たくさん作ってコスト削減!みたいな考えでしょうか?
ベランダが縦にずらっと並んだ様子は遠目に見ると、遊園地の縦長観覧車にも見えます。
ちなみに境内には上野戦争の彰義隊員の墓があります。
写真は旧寛永寺黒門を移設したもの。
それだけに幕末ファンが来たらこの建物にはびっくりするかもしれません。
逆光で撮るとそのシルエットのカッコよさはなかなかのもの。
もっともその錆びれ具合からやっぱりお寺にこういう建物は受け入れがたいのかも。個人的には好きですが。