2019年3月24日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★建築図鑑98プログラムの笛吹けど・・・「山梨県笛吹川フルーツ公園」

山梨県の笛吹川フルーツ公園に行ってきました。

設計は長谷川逸子氏。代表作の湘南台文化センターから6年後の1995年の作品です。

中心となる施設は3つのドーム状の建物。

平べったいシェルター状の「くだもの広場」、半球状の「わんぱく広場」、りんごのようなカタチをした「くだもの工房」からなります。

「くだもの広場」と「わんぱく広場」は地下の「くだもの館」でつながっています。

どの建物も傾斜地に建っていますが、この「くだもの広場」はドーム自体も傾いています。

そのせいで墜落したUFOのようにも見えます。

長谷川さんもSF的アトラクションといってるし・・・

中はウッドデッキになっており、カフェテリアも入居します。

竣工当初は霧と水、映像の演出がされていたようですが、この日は何もなし。

長いこと使ってないのかも?

もっとも広場自体は各種イベントで活用されているようです。

傾いた床に対して水平になるように調整されたテーブル兼椅子。

3つのドームは全て構造の形式が違います。

このくだもの広場は真ん中から鉄骨で建物を支える形式で、最もダイナミック。

天井はすべてブラインドなので、天候によっては全面開放できるみたいです。

この日は寒いせいか閉まってましたが、周囲の冊子も全開にできるみたいです。

かなり開放的なつくり。

 

地下を通ってくだもの館に向かいます。

くだもの館山梨と世界の果物科学、芸術、宗教などから多角的に紹介しています。

中央は「遺跡の門

古代エジプトの門を再現したもの。門の天井は葡萄が模式化されています。

山梨は葡萄、桃、スモモの生産ランキングが全国一位

なので展示もそれらが中心です。

 

展示の中では宗教的側面から果物を見たものが面白かったです。

特に西洋社会では葡萄が聖なるものとして捉えられていたようです。

ジュゼッペ・アンチンボルド「四季〈秋〉」

あとはコピーですが、果物が描かれた絵という展示もありました。アンチンボルドは分かるのですが・・・

 

ルネ・マグリット「リスニングルーム」

まさかここでマグリットを見るとは思いませんでした。

でも言われてみればマグリットって結構な確率でりんご出てきますよね。

 

くだもの館最奥には長谷川さんデザインの椅子も。

館内ではもっとも長谷川さんらしい部分だったのがこの階段。

ナゾの収音装置?がついていたりして面白い空間。

上に向かって光が差し込んでくる演出もいいです。

階段の上が「わんぱくドーム

子どもたちに一番人気のコーナーですが、ここだけ果物と何の関係もないのはいいのでしょうか?

構造は今度は両サイドから鉄骨を抑える形式です。

 

最後はもっとも果物っぽい形状のくだもの工房

鉄骨を頂部で引っ張る形式です。

低層部のブレースが果物のネットに見えます。

こっともこの鉄骨はパーゴラとしての機能しかなく、中の建物とは完全に縁が切れています。

4階建てで、公園事務所、売店、キッチン、図書館、レストランが入居。

特にキッチンは長谷川さんの言うフルーツミュージアム、またはフルーツファクトリーとしては中心的機能を担うはずですが、にぎわっているのはレストランだけでした。

レストランはレベルは高いのですが、フルーツ公園ならではという感じはなく、単に夜景がきれいなレストランという印象。

竣工当初はフルーツパーラーが入っていたようですが・・・

テラス席もあり、天気がいいとかなり開放的な環境で食事ができます。

このあたりの演出は流石で、これだけでも来る価値はあるかと。

またここがドームを上から見れる唯一のスポットだったりします。

ちなみにここの階段も長谷川さんらしいデザインです。

 

ドームには長谷川分が不足しており、むしろ周辺にそれっぽいデザインが散見されました。ウォーターガーデンにはパンチングメタルの穴だらけの傘が。

わんぱくドームとくだもの工房を結ぶ廊下の屋根。

柱のパターンがリズムカルです。

くだもの工房最上階に直接アクセスするブリッジ。くねくね折れ曲がったパンチングメタルの橋はザ・ハセガワといったところ。

長谷川さんはこの建物のプログラムにこだわりがあったようですが、施設が十分に生かされているとはとても言えない現状が見て取れました。

しかし昼間は子供の遊び場、夜は恋人たちのデートスポットとして活用されており、地域に愛された公園という印象は受けました。★★

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