NTTインターコミュニケーション・センター(初台)の「イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我」【2018年12月15日(土)─2019年3月10日(日】を見てきました。
ゲームを使った作品はたくさんありますが、それのみの展覧会というのはまだかなりレアです。
今回の展覧会は既存のゲームを利用したもの、新たにゲームを作ったもの、ゲームを解説したものなど、多様なゲームアートが見れるものとなっています。
始めはシンプルなものから。
ミルトス・マネタス「スーパーマリオ・スリーピング」はゲーム「スーパーマリオ64」でマリオが一定時間操作されないと寝てしまう動作をひたすら映しています。
ゲームキャラクターの悲哀を表現?
同じ作家の「ミラクル」はフライト趣味レーションゲームである角度で着水すると、延々と水上を滑っていくという現象を抽出しています。
同じく、JADIの「ストリート・リガール」は、レースゲームでひたすら車をスリップさせ続けています。
ブレント・ワタナベ「サンアンドレアス・ストリーミング・ディア・カム」は、広大なゲーム空間をひたすら走り回る鹿を追いかけています。
鹿はプレイヤーが動かしているのではなく、自動で動いています。
異様なまでにリアルな鹿は車に撥ねられても、怪我一つせずすぐ起き上がり走り続けます。
極めて完成度の高い、しかし死なない鹿を通して、バーチャルリアリティーの世界の不気味さを感じられる作品です。
これらの作品はゲームの展開や操作自体がアート作品化しているといえます。
また、COLL.EOの「イタリアからの絵葉書」はレースゲームの背景を撮影して絵葉書にしたもの。だれも注目しないゲームの背景に着目するのはデュシャンのレディメイドに通じます。
絵葉書は一人枚ずつ持って帰ることができます。
これまでは既存のゲームをそのまま利用した作品でしたが、これは改造を施してます。
「冷戦下の核実験の都市」が表現されています。
寒々とした街の抽象画スタイルのインテリアが映えます。
荒廃する街に頭部と腕を失ったマネキンという絵はシュルレアリスムを思わせます。
ゲームを使った絵画作品です。
オリジナルの展示ではミヒャエル・フライ&マリオ・フォン・リッケンバッハ
の一連の作品が秀逸です。
「Plug&Play」は雄雌のプラグを擬人化した白黒アニメーションゲームですが、下世話極まりない内容です。
携帯ゲームで時間を浪費する現代人への皮肉でしょうか?
いつものICCより作品数も多く、充実した内容でした。家族連れも多く、こんなにシュールな内容でも結構子供に受けてました。
今回の出品作家は芸術家としてもゲーム作家としても優秀なのかもしれません。★★