戦前の最初期は裸婦像みたいな普通の彫刻を作ってましたが、これに飽き足らなくなり、戦後の早い時期からは抽象彫刻に進みます。
堀内氏の作品は抽象彫刻の面白さが凝縮しています。
上の作品は鉄の骨組みだけの作品であり、形の面白さのみを追求したものです。
抽象性の強い作品については、堀内氏は発明者というよりかたちの発見者という立場をとっています。
単純な形をちょっと変形させたり、切断したり、組み合わせることによりいろんな形を見つけ、それを鉄などで彫刻化しています。
例えば上の作品は球をカットして2つつなげた作品ですが、複雑なカットをしているようで実は切断面は水平です。
それらの彫刻の元になっているものが「紙彫刻」と呼ばれる彫刻のひな型です。
堀内氏はこれらを後々まで大事にとっておいたようで、今回まとめて出品されています。
ボール紙が多いですが、その辺りの案内状などをリサイクルしたものも。
作品は抽象からさらにユーモア彫刻に進みます。
こちらの作品はサイコロの目が底面からドロドロ溶け出たかのような感覚に襲われる不思議な作品です。
展覧会を見に来た学生が穴を覗いているのを見て思いついたというシリーズです。
左右の目玉を覗くと右目と左目を閉じた顔がそれぞれ見えます。
仕掛けは横倒しの円筒の左右に顔を貼り付け、鏡を仕込んで中央の目玉からそれが見えるというものです。
なんだかわからない形ですが、下から上に円が大きくなっており、逆に立方体は小さくなっています。
赤く塗られた円は女性で、青は男性とのこと。
女性の勝利をイメージしてるとか。
リンゴの断面がお尻に似てることから思いついた作品。
実は非常に即物的なメッセージが込められています。
抽象彫刻の製作を支えたのが堀内氏が注文を出した町工場。
抽象彫刻は端部のエッジが命であり、ここを厳密に作るには自分で作るより注文の方がレベルが高かったとのこと。