• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★世界的な下ネタ「イグ・ノーベル賞の世界展」

Gallery AaMo文京区) のイグ・ノーベル賞の世界展【2018年9月22日(土)~11月4日(日)】を見てきました。

 

東京ドームシティの敷地内のギャラリーです。

 

イグ・ノーベル賞とは「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられる賞であり、日本人は2006年より18年連続で受賞するなど、本場のノーベル賞以上に所縁の深い賞だといえます。

入場料の割には展示はパネル中心です。とはいえ場所がいいので人はそれなりに入っていました。

 

ちなみに頭上に浮かぶ多数の紙飛行機は授賞式で的(の人)に向かって紙飛行機を飛ばす伝統があることから来ています。

展示はまず歴史から。写真は歴代のトロフィーです。とてもそうは見えなくてもトロフィーです。

多数日本人が受賞しているだけに、受賞者から借りてきた実物も展示されていました。

トロフィーは毎回賞のテーマ(なぜ賞にテーマが必要なのか謎ですが・・・)に沿って決められており、それぞれ左から「前と後ろで違うもの」「見えるかな?」「ちんぷんかんぷん」だそうです。

授賞式の様子などが多数写真等で紹介されていました。

場所はハーバード大学のサンダーズ・シアターという所。

キング牧師ルーズベルト大統領も演説した歴史ある場所で、この賞の権威の高さを物語っています。

授賞式には数々の名物キャラがいます。

こちらはVチップ・モニター氏。式の品位を保つためのチェック係です。何かと旗を振って警告を発します。旗に書かれた「NSFW」は「Not Safe for Work=18歳未満禁止)の意味です。

賞はやたら性に関わるものや下ネタが多いので大忙しです。

授賞式のアイドル、スウィーティー・プー

受賞者のスピーチは60秒と決められており、オーバーすると「Please stop. I’m Bored. Please stop. I’m Bored. Please stop. I’m Bored. (もうやめて、飽きちゃったわ  もうやめて、飽きちゃったわ  もうやめて、飽きちゃったわ)とスピーチえお止めるまで連呼します。

スウィーティー・プー8歳の少女と決まっているので、毎年入れ替わります。

こちらは歴代のスウィーティー・プー嬢。

「イグ・ノーベル賞」の創設者、マーク・エイブラハムズ氏を漫画化した作品をもとにしたインスタレーション。

ここからは歴代の受賞者を紹介していきます。

数が多いので、例によって10個に絞りました。

 

第10位.謎のロシア潜水艦はニシンのおならだった!?

北欧の海で謎の音が鳴り続け、ソ連の秘密兵器か?と思ったら、ニシンのおならだったということを突き止めた研究です。

ニシンはこのおならで魚同士コミュニケーションをとっているそうです。

大真面目にニシンの下半身(?)を大写しにしてオナラをエンドレスで流すセンスは素晴らしいです。授賞式会場はさぞかしビミョーな空気になったことでしょう(;^ω^)

 

 

第9位.ジンバブエ国民に天文学的金額のやり取りを提供

珍しい(?)数学賞

日本でもハイパーインフレが激しいことだけで有名なジンバブエ。

100兆ジンバブエドルを発行する事態になってもかたくなに1セント紙幣を発行し続けたことから受賞。

こちらがその実物。日本の紙幣よりかなり安っぽいですね。全部同じ絵柄(何の岩かは分かりませんが)だし・・・。

ジンバブエ国民は笑い事じゃないですが、これが日常だと案外平気な顔してるかも・・・

 

 

第8位.人と犬の新しいコミュニケーションツール

犬用翻訳機、バウリンガルが受賞です。右はその猫バージョン「ニャウリンガル」。

おもちゃみたいなアイデアグッズの受賞も多く、他にたまごっちも受賞。

日本の大得意な分野です。技術大国であるとともに、極端な平和国家ゆえおもちゃが異常発達したのでしょうか?

 

 

第7位.バッタも「スターウォーズ」を見たら興奮する!?

身近な生き物の認識能力や知性に関する研究は非常に多かったです。

バッタが外敵から飛んで逃げるときには①急速に迫る外敵を認識し、②バッタの神経細胞が興奮し、③ジャンプして逃げる、というプロセスを取ります。

要はこの外敵をスターウォーズの帝国軍機に置き換えただけの実験なのですが、アイデア一発で見事受賞。研究も戦略が必要ですね。

 

第6位.胎児に届く膣内スピーカー

赤ちゃんに生まれる前から英語を聞かせるなどの教育は有名ですが、その際お腹の上より、膣内の方が格段に反応がいいことを突き止めたことから商品化に至りました。

実際にエグいビジュアルの商品も展示されていました。もはや発想が現代アートです。

ちなみにこの授賞式の様子は会場内のシアターでも紹介されていましたが、やはりというか、上記のVチップ・モニター氏に制止されていました。

 

 

第5位.女性の出産をサポートする機械

またしても出産シリーズ。やはり出産は人体でもっとも神秘的で、かつ女性にとって負担も大きい部分です。

要は単なるぐるぐる回る出産台です。少しでも妻の出産を手助けしたい夫の愛情が滲む感動作(?)ですが、実際に導入されなかったせいか、受賞は発明した夫妻の死後でした。

 

 

第4位.ハトは巨匠の画風を見分けられるか?

芸術系の受賞も結構ありました。

モネの絵をつつくと餌が出、ピカソだと出ない・・・という訓練を繰り返した結果、見たことのないモネ、ピカソの絵でもタッチで見分けれれるようになった、という研究です。

さらにモネ風(印象派)、ピカソ風(キュビズム、シュルレアリスム)の他の画家も正しく認識したとのこと。と説明されても小学生の夏休みの研究レベルに感じるのですが(;’∀’)

賞のお笑い要素が強調された一作でした。

ちなみにハトは他に「日本武尊の銅像だけハトの糞まみれにならないナゾ」でも活躍してました。ハトってこの賞の雰囲気になじみますね(^-^)

 

 

第3位.対グリズリー防護スーツ

グリズリーから身を守るスーツの開発です。

会場ではそのドキュメンタリー映画「プロジェクト・グリズリー」も一部上映。

死ぬまでスーツの改良は続けていたようで、そのライフワーク的意義も込めてランクインさせました。

 

 

2位.トーストが床に落ちるときはバターを塗った面が下になりやすい

 

実はこの研究は関連書籍で知っていたのですが、読んだときは「???」だったのですが、会場のレプリカで試してみると、確かに必ず、バター面が下に落ちる!!

 

これは皿やテーブルの高さからトーストがバター面を上にして一定角度で落ちることで、一回転し必ずバター面が下になるからだとのこと。

映像では頭の高さからだと必ずバター面が上になることも大真面目に実証されていました。

 

他にトースト型インスタレーションも。

 

 

第1位.ガスマスクに早変わりするブラ

この製品は受賞者がチェルノブイリ事故をウクライナで直面したことをきっかけに発明されたもので、「どうすればガスマスクを簡単に持ち歩けるか」ということを考えた末の発明。決しておふざけではないのですが・・・

「自分以外にもう一人男性を助けられるの」「選ぶのは私よ!」と叫ぶ受賞者のキャラ立ちが素晴らしかったです。

実演シーンも素晴らしいです。なんだかSMショーのようにも見えますが・・・女史が複数ブラを着こんでいるのもポイント。

 

入場料は高い感じはしますが、新しい発見があるという意味では満点です。★★★

 

ちなみに次の展示はバットアート展

東京ドームはどこへ行こうというのか・・・

コメント一覧

★★★良い絵とは何なのか?「バットアート美術館展」 – 博司のナンコレ美術体験2018年12月17日 1:02 AM / 返信

[…] 前回のイグ・ノーベル賞展といい、ギャラリーアーモは侮れませんね。★★★ var quads_screen_width = document.body.clientWidth; if ( quads_screen_width >= 1140 ) { /* desktop monitors */ document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 1024 && quads_screen_width < 1140 ) { /* tablet landscape */ document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 768 && quads_screen_width < 1024 ) { /* tablet portrait */ document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width < 768 ) { /* phone */ document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); } […]

値段分はない「空想科学 かいじゅうのすみか」 – 博司のナンコレ美術体験2020年1月6日 10:54 PM / 返信

[…] 同じ会場でバットアートや春画やイグノーベル賞展をやってたとは思えません。 […]

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