• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★顔を巡る無限大の表現 「高橋コレクション 顔と抽象」

清春芸術村(山梨県北杜市)の高橋コレクション「顔と抽象」【2018年3月18日[日]─5月6日[日]】を見てきました。

清春芸術村は山梨県の農村地帯にある美術館、アトリエなどを含む施設です。小林正雄、白洲正子など錚々たるメンバーが芸術家の制作と展示の場として設置し、逐次増築されて現在に至っています。

 

一方高橋コレクションとは精神科医である高橋龍太郎氏の日本現代アートのコレクションのことです。日本の現代アートのマーケットは小さく、その小さいマーケットも海外のコレクターに買い尽くされつつある中、高橋氏のコレクションは現代アートのまとまったコレクションとして非常に貴重です。

現在高橋コレクションを常設で見れる施設はありませんが、代わりに各地の美術館などにそのコレクションが貸し出され、展覧会が開催されています。

 

現代アートだけあって同コレクションは大型作品や空間インスタレーションも多いのですが、今回は「顔と抽象」という縛りがあるせいか、いつもより大人しい作品が多いです。

谷口吉郎、谷口吉生「清春白樺美術館」

特に「顔」の方は現代アートを展示するには空間が狭い白樺美術館で、ルオーなど同美術館のコレクションと混ぜて展示するので、小さい作品が多いです。

風間サチコ「角栄さん」

小品だけに少壮コレクターにとっては参考になる作品が多いです。流石に凡作は一点もなく、刺激的な作品が非常に多いです。

中野浩二「無題09-07」

「顔」といっても実に多彩な表現があり、その方法は無限大だとも言えます。合わないと思っていた同美術館のコレクションとも、混ぜても意外と違和感ありません。

 

安藤忠雄「光の美術館」

一方、安藤忠雄設計の「光の美術館」では「抽象」をテーマにした作品を展示してます。

この建物は直方体の欠けている部分から天井にかけてスリットが入っており、ほとんど自然光のみで作品を見る作りです。

小林正人「LIGHT PAINTING #11」

こちらは天井が高いので現代アートの大型抽象画を展示するのに適しています。近年ギャラリーで展示された作品に再会できたりするのも楽しいです。

 

高橋コレクションの代表選手が見れない寂しさはありますが、たまにはこういう展示もありかと。「顔」の多彩さは結構楽しめます。★

コメント一覧

★★規模に反して中身は濃い「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」 – 博司のナンコレ美術体験2018年5月5日 11:19 PM / 返信

[…] 当初はアメリカ現代美術を対象にしていたようですが、現在はアジアの作品などが増えているようです。現代の軸がアジアに移っているせいでしょうか?その分基本国内現代美術だけを対象にした高橋コレクションより方針がわかりにくくなっています。 […]

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