2018年8月19日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★規模に反して中身は濃い「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」

平塚市美術館の「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで」【2018年4月21日(土)~6月17日(日)】を見てきました。

タグチ・アートコレクションは実業家の田口弘氏の国内有数の現代美術コレクションです。

奈良美智「コズミック」

当初はアメリカ現代美術を対象にしていたようですが、現在はアジアの作品などが増えているようです。現代の軸がアジアに移っているせいでしょうか?その分基本国内現代美術だけを対象にした高橋コレクションより方針がわかりにくくなっています。

ジョナサン・モンク「アフター・スプラッシュ」

展示作品にはウォーホルやキース・ヘリングもありましたが、今更過ぎてあまり印象に残らず。むしろ印象に残ったのはイギリスのポップアートです。

ジョナサン・モンク「バイオレント・シャドウⅣ

特にジョナサン・モンクの作品は過去作に批評性を加えたもので、実にイギリスらしい発想です。

ヴィック・ムニーズ「デルフトの眺望(裏面)

こちらはオランダの作家ですが、同じ傾向の作品です。フェルメールの絵画の裏面のみを忠実に再現した作品です。裏面だけなのにやたら強固に保護されているのがなんだか笑えます。

クリスチャン・ローザ「OHNE TITLE

こちらはブラジルの作家。キャンバスに様々な画材を用いて描いているものは顔の様にも、電気回路の様にも見えます。コレクションの方向性がウォーホル以後の現代アートになってるのが見て取れます。

青山悟「about Painting 2014-2015

国内作家で面白かったのがこちら。20世紀の画家を社会的ー個人的と、保守的ー革新的の2軸で分類しています。

各作品は刺繍で再現されています。ただ分類にはあまり賛成できません。政治テーマについて描きでもしない限り、芸術作品なんてほとんど個人的なものでは?と思います。

照屋勇賢「告知ー森(Tiffany & Co.)

久しぶりに見た照屋氏の作品。

紙袋を切り取って木を作っています。保存が大変そうです。実際一部の作品はだいぶくたびれてました。

リチャード・モス「シュガー・レイ

写真作品も多く収集されていました。軍事用の赤外線カラーフィルムを用いて制作しています。植物は赤くなってますが、空や人はそのままの色で終末感漂う雰囲気になっています。

さわひらき「eight minutes

動画作品も多く出品されていました。中でも面白いのがこちらの作品。

家の水回りを湖に見立て、羊のような生物が歩いていきます。その動きは単調で、作り物めいています。この単調な動きが合成された映像を秩序だった強固な世界にしています。静謐な美しい作品です。

(手前)加藤泉「無題(左奥)杉戸洋「ダンシング・マン(右奥)大岩オスカール「氷山

どちらかというと楽しい作品より美術の歴史に係るコンセプチュアルなものが多く、映像作品も多数出品されているため、点数の割には見るのに結構時間がかかります。知名度に反して高橋コレクションよりずっしり来る内容でした。★★

コメント一覧

★★★空間インスタレーションとしての屏風作品「岡村桂三郎展-異境へ」 – 博司のナンコレ美術体験2018年5月8日 10:12 PM / 返信

[…] 同時開催のタグチ・アートコレクションも充実の内容で、多少遠くても足を延ばすにはまたとない機会だと思います。 […]

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