• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★構造が分かっても分からなくても「構造展 -構造家のデザインと思考-」

建築倉庫ミュージアム(品川区)の「構造展 -構造家のデザインと思考-」【2019.7.20-2019.10.14】を見てきました。

 

建築は建築家の名前で「作品」として発表されますが、実際には建築会社に所属する職人が作っているのは自明のことです。

そして建築家はデザインにおいても、その形を実現するために構造家という人々のアドバイスを必要としました。

構造家とは地震などによって倒壊しない建物を作るための計算をする人々のことです。

通常、展覧会や雑誌では建物は建築家の作品として発表されます。しかし今回の展覧会では構造家の作品として発表されていて、極めて異例です。

上の画像で言うと、武藤清が構造家で、丹下健三が建築家です。構造家の方が上に、大きく名前が入っています。

それに倣って僕も今回はほとんど知らない構造家の名前で面白かった作品を消化してみます。

 

①川口衛「万国博覧会 富士グループパビリオン」

16本のエアチューブを曲げて繋げただけという単純明快な構造です。

サイケな色合いも時代を反映しています。

個の大阪万博ではこれ以外も構造上実験的な建物がたくさん登場しました。

 

②谷資信「スカイハウス」

建築家、菊竹清訓氏の自邸です。日本でもっとも有名な家の一つでしょうが、構造の観点から紹介されているのは初めて見ました。

この建物の構造上の注目点は2点。曲げた板を屋根としたHPシェル構造と、4枚の板を立てて柱兼壁とし、住居部分を2階以上に持ち上げていることです。

 

③播繁「長野市オリンピック記念アリーナエムウェーブ」

 

吊り屋根と斜め壁で「M」のように見える構造を波上に並べて出来たことから「エムウェーブ」と名付けられました。

構造がそのまま建物名になった特例です。

 

④武藤清「東京都庁舎」

 

半分を構造をあらわにした珍しい模型です。

所々に1フロアを使った巨大梁がある「スーパーストラクチャー」は高層ビルでは定番の形態。

 

⑤渡辺邦夫+構造設計集団(SDG)「横浜港大さん橋国際旅客ターミナル」

こんな模型を見ても絶対建物を想像できないこと請け合いです。

珍しい模型が見れてお得感はありますが・・・

 

⑥中田捷夫「全日空成田第一格納庫」

飛行機の格納庫が作品として取り上げられるのも珍しいです。

3台の飛行機が収納できる大空間はもちろん、空調や照明なども作業効率を上げる工夫が凝らされているとのこと。

 

桝田洋子「行橋の住宅」

屋根部分のU字型とJ字型の部分は梁ですが、U字型のほうはこのUの内部にも部屋があります。

こんな形思いついてもやろうとはふつう思わないでしょう(褒めてます)。

 

⑧名和研二「潜水士のためのグラス・ハウス」

消波ブロック生産過程で生まれる廃材のコンクリートを利用した家。

特殊な素材を使った場合の構造計算も構造家の仕事です。

素材もですが、ガラスを多用した開放的な外観も特徴です。

 

⑨竹内徹「東京工業大学附属図書館」

チーズケーキみたいな形の図書館で、主な機能は地下部分にあります。

これはスケルトンモデルですが実物も斜めに走る柱が建物を支えていることが一目でわかる優れたデザインです。

 

⑩齋藤公男「山口きららドーム」

ドーム建築も多く紹介されていました。

こちらはドームの横に子供みたいなのが付いていてなんだか可愛いです。

 

通常紹介されないような建築が多く集まっており、従来の建築展に飽き飽きしてる人も楽しめると思います。入場料3000円は高いですが・・・

 

コメント一覧

★「Wandering Wonder-ここが学ぶ場-」 – 博司のナンコレ美術体験2019年8月16日 6:50 PM / 返信

[…] 色々面白い建物はあったのですが、同時開催の構造展と比べるとややインパクトに欠けました。 […]

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