足利市立美術館(栃木県)の「真島直子 地ごく楽」【2018年4月24日(火)~7月1日(日)】をみてきました。
建物はマンションと美術館がくっついた珍しいスタイルです。
真島直子「妖精」
回顧展であり、初期から最新作まで様々な作品が並んでいます。足のない廃材アートのような作品は、植物の人体化を表しています。会場ではこの過程を示す絵画作品も多数展示されていました。
もっともインパクトがあったのが空間インスタレーション作品です。床には吐しゃ物のようなものがまき散らされており、筒状の物体には寄生虫のようなものがたかっています。
「地ごく楽」とは真島さんの造語で、そのまま地獄と極楽の併存を示します。この作品も死を表すとともに、腐った表面の下から新しい生命が誕生しているとも解釈できます。
筒状のものは男性器にも海綿にも見えますが、真島さんは鯉をイメージしたとのこと。水面から飛び出て餌をねだる鯉に生命の氾濫を見たのかもしれません。
真島さんは奇人エピソードに事欠きません。小学6年までほとんど喋らなかったとか、藝大時代も極貧で、にも拘わらずもらった食品や衣類を作品にしてしまったり(なので作品の素材には端切れや大豆が使われています。パートナーがテキ屋だったり、一貫してアウトサイダーなのも特徴です。
髣髴とさせるのは幻覚に悩まされたという若き日の草間彌生さん。草間さんはおそらくとっくに癒されて現在の言動は変人アピールに見えますが、 真島さんは草間さんが癒されなかったバージョンに見えます。★★