2018年9月23日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★反戦の聖地?反日の牙城?「原爆の図丸木美術館」

原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)に行ってきました。

都幾川のほとりに建っていますが、周囲には何もない、非常に寂しいところです。

最寄駅からは徒歩25分とやはりかなり距離がありますが、荒涼とした景色が続きます。とはいえこれが日本の典型的な郊外の光景でもあり、ある意味美術館のテーマにふさわしい光景でもあります。

原爆の図 第1部 《幽霊》

原爆の図」とは広島の原爆で親戚の多くを失った丸木 位里・俊夫妻のライフワークともいえる屏風を支持体とした作品で、1950年から1982年まで15作が作られました。本美術館では15部「長崎」以外の14作がほとんどいつでも見れます。

原爆の図 第1部 《幽霊》(一部)

その特徴は徹底した虐殺の描写に尽きます。特に初期の作品はほとんど黒一色で、過剰な描写は批判も大きかったようです。しかしこのような直接表現に及んだ作家がほとんどいなかったので、その功績は多大だといえます。

 

原爆の図 第9部 《焼津》

原爆の図 第12部 《とうろう流し》

第8部 《救出》で広島をテーマにした物語がひと段落したあとはよりテーマも表現も多彩になりました。「とうろう流し」などは過去の作品との連続性を保ちつつ、幻想的なイメージが美しい作品です。

南京大虐殺の図(部分)

広島以降もアウシュビッツ第五福竜丸、水俣など様々な悲劇を描いており、一貫している一方広がりには欠けています。また、いわゆる南京大虐殺朝鮮人差別、三里塚闘争を描いたことにより、一気に政治色が強まってしまい、ますます視野狭窄に陥ってしまったのは残念です。原爆体験のショックが大きすぎて、生涯反権力、反政府に凝り固まってしまった印象です。

ところで本美術館はかなりの展示スペースがあり、原爆の図14作を展示してもまだまだ空間が余ります。

僕が行った時には「今日の反戦反核展2017」と朝鮮学校の展示をやっていました。

しかし多くの作品は学芸会レベルで、単なる政治プロパガンダの作品もありました。

目羅健嗣さんのネコラシリーズや、出店久夫さんや柚木ミサトさんなどあまりテーマと関係のない作品が面白かったです。

 

色々描きましたが、原爆の図の歴史的意義は揺らぎませんし、いろいろ極端な表現の数々は見ておいて損はないと思います。ナンコレ度★

 

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