2018年10月19日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★建築図鑑40伝統と革新の融合「目黒総合庁舎」

目黒総合庁舎の見学ツアーに行ってきました。

本建物の設計は村野藤吾。大阪を拠点に戦前戦後通して活躍した建築家で、宇部市渡辺翁記念会館、日生劇場、谷村美術館など数々の建築を残しました。

本建物は当初千代田生命保険本社ビルとして竣工し、2003年からは目黒区が総合庁舎として活用してます。

外観はアルキャストを用いた連続窓が非常にモダンかつSF的で、駐車場からよく見えます。

その未来的な外観はCMにも登場してます。

敷地は高低差があり、入場する方向によって地上階が異なります。

建物は駐車場を囲んでコの字型になっており、向かって左側はエントランス空間になっています。

建物と駐車場の間には池があり、駐車場の下には茶室など和室が収まります。

このように意外と複雑な建物で、庁舎としては機能、内装ともにオーバースペック気味です。

 

建物屋上から奥の方に車寄せ日よけの不思議な形が見えます。

日よけは屋根の形状だけでなく、柱も排水管と混ぜてランダムに配置しています。マニアにはこのあたりのセンスがたまらないそうです。

ここの足元にある要石は日生劇場の柱のパーツを使っています。風水的な意味があったのでしょうか?

 

エントランス棟だけは外観も仕上げは石になっています。伝統と新しい素材を使い分けています。

エントランス内観。窓を低くして天窓で採光する仕掛けになっています。

左側のガラスの鉄棒のようなものは照明器具でしたが、現在は使われていません。

しかし白い内装と水盆の反射でそれなしでも十分明るいです。

右側は水が張られており、また右に見えている柱は左では屋外についています。そのため左右非対称になっているなど細かいこだわりがあります。

天窓の内側の仕上げ。日生劇場の天井も非常に手が込んでますが、ここではガラスモザイクが用いられています。

エントランス棟を脇から見たところ。窓が低くなっているのが分かります。

エントランス棟の屋上。屋上から見られることを想定し、このあたりもこだわって作られています。

 

エントランスから本館に入ると正面にある階段。村野は階段には並々ならぬこだわりがあり、これもその有機的な造形から傑作の一つと言われています。

浮遊感を強調するための仕掛け。

裏から見られることも想定してます。中央の柱から吊っている構造ですが、それを隠すために内部は照明器具が仕込まれています。ただし現在は稼働してません。

 

 

村野が水面に映ることを意識して外観をデザインしたことがよく分かります。

池の向こうの駐車場の真下が和室空間です。

ちなみに池の植栽には鴨の親子がたくさん住んでます。

和室は休憩所として開放されている場所もあれば、貸会場として活用されている部屋もあります。

光天井になっている部屋。

現在は蛍光灯むき出しですが、当初はカバーが付いていました。このように和室内でもかなり変化をつけてきてます。

茶室もはやり貸し出しされています。京都の裏千家の茶室の写しだそうです。

オフィスとしての機能性を踏まえながらも色々な遊び心を組み込んだせいで、会社が倒産した後も建物が残るという成功例です。

今回はツアーで行きましたがほとんどの空間は市民に開放されているので近くに立ち寄った際は行ってみてほしいスポットです★★

コメントを残す