2018年12月15日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★建築図鑑42 死なない建築は可能か?「三鷹天命反転住宅」

三鷹天命反転住宅の体験ツアーに行ってきました。

この建物の設計は荒川修作氏。

最初期の作品。荒川修作「抗生物質と子音にはさまれたアインシュタイン」

戦後第一世代の芸術家で、一時期赤瀬川原平氏や篠原有司男などとネオ・ダダイズム・オルガナイザーズを結成しましたが、いち早く頭角を現して脱退、渡米。

荒川修作「養老天命反転地」

以後は思想的な版画作品などを作っていましたが、徐々に作品は大型の体験型に変貌し、ついには巨大な公園まで作ってしまいます。

 

「天命反転」とは「死なない」ことです。ここに至るまでのプロセスは難解なのですが、DVDを見るとその一端は分かります。しかし言葉での説明には限界があるのでやはり実際自分の考えを体験してほしい、という思いからこの建物は作られました。

 

なかでもこの「死なない」ための訓練を常時できる装置として考案されたのが本物件です。

ちなみに道路向かいは住宅展示場。荒川氏は建物の建設時にはわざとこの住宅展示場を通ってくることによって闘志(?)を滾らせていたのだとか。

 

建物は3階建てで各3戸の合計9戸。各戸は円を描いた部屋の周りに3ないし4部屋がくっつく構成です。中央にはキッチンがあります。

 

中央の部屋の床は左官仕上げのデコボコ。この凸の上を歩くとツボが刺激される・・・かもしれない

床だけでなく天井も傾いており、平衡感覚の常識を覆す狙いがあります。

またインターホンも傾いて付いているため、訪問者も歪んだ部屋を見ることになります。

 

各部屋には球体の部屋もあれば普通の各部屋もあります。

円筒状のシャワールーム。その向こうがトイレですがドアがないうえに外は普通に大きな窓が付いています。住民の創意工夫が試されます(笑)おすすめの方法は「掃除機をかける」ことだそうです。

とにかく収納が少ないのが特徴です。この写真のはしご(?)は本棚として活用できそうですが、使い勝手は悪そうです。

またその手前はハンモックで天井のフックに吊るして使用します。

天井には無数のフックが付いており、あらゆるものは天井からつるす必要があります。普通に吊るしまくると天井から生活空間が脅かされる(?)のでここでも工夫が必要です。

ちなみに体験の内容はこの色々吊るした空間を目隠ししてぐるぐる回るというもの。

この部屋は床は平行ですが円状の畳に玉砂利というナゾな仕上げです。

こちらは本物件の管理も行う建築事務所の部屋です。

各部屋で使われている色は共通ですが、どこでどの色を使うかは全部違います。

こちらの部屋ではこの物件の活用例が学べます。

天井からつるす家具はIKEAが充実してるとか。

荒川氏の生前はこの住宅を大増殖させる計画も色々あったようですが、現在まで実現していません。しかしこの歪んだ空間がボケ防止やリハビリに効果があるという研究もあり、「死なない」に少しずつ近づいているようです。★★

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