• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

霧の彫刻とモナリザの関係とは?「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎

銀座メゾンエルメス フォーラムの「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展

【2017.12.22(金)~2018.3.4(日)】を見てきました。
中谷 宇吉郎(1900- 1962)氏は日本の物理学者で、世界で初めて人工雪を製作したことで有名です。
中谷芙二子「霧の彫刻、ペプシ館」
一方中谷芙二子さんは宇吉郎氏の次女で、世界で初めて大阪万博にて「霧の彫刻」を発表したアーティストです。
今回の展示は「霧の彫刻」を中心に、2人の仕事を振り返るという企画です。
霧の彫刻は壁際に排水溝を切るなど大幅な工事の末、霧の発生装置を設置してます。
一定間隔で上下2段の噴射器から霧が噴出され、
やがてほとんど何も見えなくなります。
ただ体験した感想としては、「それで?」って感じで、氷や雪の結晶の研究が霧の噴出機にどう繋がるのかもイマイチ不明でした。
他、世界中で行われた「霧の彫刻」の記録も豊富に揃ってました。
日本でもこれだけの実践例があります。
これも映像で紹介されていましたが、場所が違うだけで同じ霧じゃん!と思いました。
それよりも面白いと思ったのは中谷さんが若いころ製作したビデオ作品です。
 「モナリザのしっぽ」は1974年に東京国立博物館でモナリザが展示された時の様子を撮影したものです。
国立博物館の広い中庭に延々と行列が続きます。
映像は倍速で撮影され、ときにインタビューが挟まれます。
「霧の彫刻=大気の流れ、行列=人の流れ」という解説はやや強引に感じましたが、展覧会そのものよりも、今日も変わらない特定の展覧会に爆発的に集中する観客という構図に着眼したのは面白いです。
もちろん宇吉郎さんの雪の結晶の研究の資料も展示されています。
宇吉郎氏、芙二子さんの仕事を多角的に見せている点は興味深かったです。

コメントを残す