東京都庭園美術館(目黒)の「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」【2019年1月26日(土)〜4月7日(日)】を見てきました。
岡上さんは1940~50年代に主にフォトコラージュで活躍した作家。長年忘れ去られていましたが、ここ数年で急速に再評価されていきました。
元々は服飾を学んでいたようで、その影響か作品は当時のファッション雑誌の写真が多用されています。
用いられる動物がバリエーション豊かで見ていて楽しいです。
作品には遠近感や縮尺を無視したものも多く、一見雑に見えるコラージュ作品も多いです。
この辺り、生活が懸かっているプロの芸術家にはないような気軽さがあり、そこも逆に魅力になっています。
後期の作品は兵器や洗浄が登場するものも多いのですが、これはたまたま時局柄そのような写真が多く雑誌に掲載されていただけのことだと思います。
もっと後期になってくると、大量生産、大量消費的なモチーフも多く登場します。
主張があるというより、新しい時代を素直に楽しんでいることが作品から感じられます。
岡上さんはコラージュを通して女性の活躍を賛美していましたが、同時にこれら工業製品への愛着も感じられます。
会場には絵画作品や、自ら撮った写真作品もありましたが、コラージュほどのインパクトはありません。
やはりコラージュのみが彼女の妄想世界を伝えるメディアとなり得たのでしょう。★