今回は太田市立美術館・図書館に注目してみたいと思います。
設計は平田晃久氏。まだ40代で、これまでは住宅建築が多かったですが、今回始めて本格的な公共建築を設計しました。
これまでも北九州市中央図書館・市立博物館、山口情報芸術センターなど図書館と博物館や美術館が同居している例はありました。しかしそれは建物が隣接しているだけで運営的にも空間的にも分けて作られていました。鳴り物入りで完成したせんだいメディアテークもフロアは完全に図書館とギャラリーが分離しています。
本建築は図書館と美術館が混ざり合っていることが見どころとされてきました。
アクセスは太田駅のすぐ目の前。複雑な外見ですが、現物は思ったより小さいです。この辺りは人口22万人の身の丈にあった規模になったということでしょうか?
どの角度から見てもナナメった奇妙な外観をしています。これは内部がずっとスロープで登っていく空間になっているせいです。また外部からも階段で屋上まで行けます。
外観は太田市に多く点在する古墳をヒントにしたと言われていますが、少々こじつけ臭いです。
駅に面した入口脇にはカフェがあります。
カフェの反対側には物販コーナーがあります。地元企業であるスバルのグッズが扱われています。
その後ろは美術館です。
一階中央のスロープやらせん階段が交差するもっともドラマティックな空間です。
スバルの前身である中島飛行機のプロペラがヒントとのことですが、これもこじつけ臭い・・・
1階も微妙に勾配があり、また内部をそのまま抜けて反対側に出ることが可能。「街が内部まで連続している建築」を目指したとのこと。わざわざ建物を突っ切る人がどのくらいいるかはともかく、通路的な演出は凝らされていました。
美術館専用のスロープ。美術館は1階、2階、3階に点在しているとはいえ、専用の動線が設けられており、思ったほど図書館と一体になっている印象はないです。有料ゾーンなので図書館から中も伺えないし・・・
このスロープが唯一外から美術館部分を伺えるところかも。
2階から1階を見たところ。
複雑な空間は5つの鉄筋コンクリートの建物間を、スロープでぐるぐる結んでできています。
屋上に飛び出した箱型はその一部です。
2階の児童書コーナー。ネオンサインは1階などからも見えるよう工夫されています。靴を脱いで入るようになっています。
2階のアートブックコーナー。地方の美術館にしては異様なまでの充実度でした。
他建築のコーナーも充実していました。
図書館は1階に雑誌と生活関係のコーナーがあり、2階が児童書、3階が専門書になっています。
上に行くほど人が少ないです。
スロープの途中には特徴的なソファが多数置かれていました。
本建築は市民のワークショップによって設計されているので、家具もその意見が生かされたと思われます。
クッションは使われていない講演室を塞ぐ役割も。
隠れ家的な場所も多数あります。
中だけでなく、建物の外も階段が巡っており、建物内外を結ぶ扉も多数設けられています。
のぞき窓みたいなのが多数あり、楽しい空間です。
行ったときは日曜日だったにもかかわらず、2階、3階は児童書コーナー以外は閑散としており、本当に地方都市が必要としている建物なのか、疑問が多いです。またスロープが連続する空間もお年寄りにとって便利なのか不明です。図書館が閉館する時間は屋上庭園も利用できなくなるのも疑問です。
このように色々疑問はありますが、衰退しつつある地方都市に異様に凝った建物を建てたことは支持できます。
太田駅前も現在大きな商業施設はドン・キホーテぐらいしかなく、この建物から街が活性化していけば何よりだと思います。★★★
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