野菜を

千葉市美術館「小沢剛 不完全ーパラレルな美術史」【2018.1/6-2/25】を見てきました。

「ベジタル・ウェポン」

小沢剛氏は2001年に野菜を武器に見立てて構える少女の写真「ベジタル・ウェポン」を発表してブレイクし、会田誠氏など「昭和40年会」のメンバーの中で最も早くブレイクしたアーティストです。

今回は小沢氏の新作を含む代表作がまとめて見れる展覧会となっています。

「不完全」

始めに見れるのは、美大生がデッサンに使う無数の石膏像を羊毛に埋めた「不完全」という作品。羊毛は千葉県の形をしています。

遠目で見ると、無数の石膏が融合し新たな生命が生まれるような錯覚を起こします。「不完全」というタイトルは未来への可能性に希望を持つという意味だそうです。

「金沢七不思議」

見世物小屋を模したインスタレーションが展開しています。これは美術館以前はアートに当たるものは見世物小屋で見たという歴史から来ています。

金沢の伝統工芸から作品が作られていますが、架空のものも含まれます。

「す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す
鶴田吾郎「神兵パレンバンに降下す」

東京国立近代美術館で見れる戦争画を元ネタにした作品です。鶴田氏の作品は戦争画でありながらミョーに明るく健全で、違和感を感じますがそれを見事に言語化してくれています。ただ小沢氏の絵はぼやけ過ぎていて、解説なしには何か分かりませんね。

会田誠「紐育空爆之図」

少なくとも画面の強さはゼロ戦がマンハッタン島を爆撃する会田誠氏の戦争画に大きく水を開けられてます。

「帰ってきたペインターF」

藤田嗣治が戦後インドネシアのバリで活躍する歴史のIFを描いた作品です。映像、音楽、絵画を組み合わせた大掛かりなものです。

「醤油画資料館」

一番面白かった作品です。架空の伝統芸能「醤油画」をコレクションした資料館という設定です。やたら野暮ったい田舎の資料館風の外観も見どころです。

内観もクオリティの低さ(?)も見事に再現

せまっ苦しい空間で制作に勤しむ職人風の男。

古今東西あらゆる画家が醤油で作品を作っているという設定。岡本太郎画伯などは序の口で・・・

紐に捕まって足で描く白髪一雄

もの派の李禹煥

果ては版画のアンディ・ウォーホルロイ・リキテンシュタイン

写真の荒木経雄

とどめは耳の彫刻で有名な三木富雄です。

 

醤油資料館は非常に面白かったのですが、それ以外はお勉強っぽくなってしまっていて、イマイチ乗り切れない印象です。今回出品された7つのシリーズのうち実に5つまでが大型インスタレーション作品で、客を楽しませようと小沢氏の色々な工夫は随所に見れるのですが、一般人からすると美術史を研究してる人にだけ伝わる高度なギャグといった感じです。

「なすび画廊」

また今回出品された作品のうち最古のシリーズである「なすび画廊」(1993-2006)などは、もう古くなってしまったように感じました。このような当時の世相を切り取ったエッジの効いた作品は、時代が変わってしまうと作品のクオリティによって埋もれていくか、残るかに分かれます。正直今日見ても「?」なものが多かったです。

 

小沢氏は今後大衆向けに開かれた作家として復活するのか、それとも玄人向けの閉じた作家になっていくのか、そんなことを考えさせられました。ナンコレ度★