映画「利休」(1989年)を見ました。
監督が草月流の勅使河原宏であり、その総力を結集した作品になっています。
作中に登場する茶道具などは本物を美術館などから借りてきて撮影しており、草月流の美意識もあって場面一つ一つが異様なまでの豪華さを見せています。
またキャストも現代芸術家が脇役として登場しており、正親町天皇 を堂本尚郎(
右)が・・・
秀吉の主治医・玄白 を飯田善國(右)が・・・
特に等伯は作品製作のシーンもあり、貴重な映像になっています。
背景のセットや茶室も大量に使われており、演者だけでなくこちらでも相当な費用が掛かったと思います。
最後の方の障子のインスタレーションや、ラストの竹藪のインスタレーションは草月流っぽかったかなと思います。
映画の物語としては、野上彌生子の小説『秀吉と利休』を原作としただけあって、秀吉(山崎努)と利休( 三國連太郎)の対決がメインテーマになっています。
近年の作品では秀吉を悪役として描くことが多いですが、本作では2人とも俗世に生きる人の苦しみを見せています。またお互いが相手に強く惹かれながらも、そのあまりに強すぎる個性がゆえに反発し合う場面が丁寧に描かれていました。
結構長い映画ですが、古典、現代アートファンとしても、そうでない人も満足のいく仕上がりになってると思います。★★