2018年10月16日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★古代から綿々と続く自然とのかかわり「いのちの交歓-残酷なロマンティスム-」

國學院大學博物館「いのちの交歓-残酷なロマンティスム-」【平成29(2017)年12月16日(土)~平成30(2018)年2月25日(日)】を見てきました。

 

過去にも神道など呪術や祭りに関する展示がに多かった國學院大學博物館。今回は岡本太郎をはじめとする似たようなテーマに関心を持つ現代美術家の作品を並行して展示しようという企画です。

展示ケースの中には岡本太郎の「豊穣の神話」と縄文時代の遺物が並列して展示されています。

縄文人に食べられた鹿の頭

普通の考古資料館にあるような整った土器ではなく、古代人の生活の跡が分かる資料が多く展示されています。この辺り岡本太郎が縄文人が持つ想像力の爆発に注目していたことと共通してます。

獣の革靴(1950~60年)

古代だけでなく近現代の資料も展示しています。時代を超えて自然との交流を感じることができます。

木の仏神像(近~現代)
丸石とシカの骨(5000~2800年前)

ただ資料を展示するだけでなく、インスタレーションのようになっていて、学芸員のセンスを感じます。

縄文土器の顔の破片

縄文土器から顔に見える所だけを抽出。学芸員が考古資料と現代アートを使って自由にイマジネーションを働かせたことが分かります。

オシラサマを捧げるイタコ

岡本太郎は日本各地の伝統文化を調査し、その写真を多数残しています。太郎は写真はプロではないにも関わらず、その美的センスで切り取った記録写真はときにプロ以上のパワーを持ちます。このように実物といっしょに展示されるのは大変レアです。

(上)岡本太郎「石と樹」(下)黒曜石

単なる石と樹以上の巨大な生命力を感じる絵画です。石は骨のようにも、昆虫の繭のようにも見えます。

田中望「イザナミ」

ネームバリューとしては岡本太郎に劣りますが、今回は他にも多数の現在活躍中の現代美術家が出品しています。その中でも出色なのは田中望でしょう。日本画の手法を用いながらモチーフはこれまであまり描かれなかった古代神話の世界です。

祭りを行う人々が兎に置き換わり、背景には大根が浮かびます。幻想的かつ豪華絢爛な日本画で、岡本太郎に匹敵するパワーを感じます。

田中望「モノおくり」

モノおくりとは狩猟文化における獲物を祭る儀式ですが、絵画ではそれと無関係に様々な食物が巨大化して祭られています。

気になるのは中央の銀色のモノリス。先がすぼんでいるので道祖神の一種かもしれませんが、2001年宇宙の旅のモノリスを思い浮かべます。

田中望「モノおくり」

神々と遊ぶ兎たち。

画面端に描かれた巨大な生物(?)は宮崎駿の世界観を思い浮かべます。かなり大きな作品にも拘わらず、画面にはびっしりと複数の物語が描かれており、大変な力作です。

中央の映像作品は漁師の祖父を持つ井上亜美さんの作品。

様々な切り口から日本人の自然との関わりを示した好企画。似たような展示に21_21 DESIGN SIGHT(六本木)の野生展がありますがこちらは無料。素晴らしいです。ナンコレ度★★★

 

 


会期: 平成29(2017)年12月16日(土)~平成30(2018)年2月25日(日)

会場 :國學院大學博物館 企画展示室+ホール

開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

会期中休館日: 12月26日(火)~1月5日(金) 2月2日(金)

入館料: 無料

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