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輝く都市を思う「建築家・坂倉準三 パリ ‐ 東京:生き続ける建築」展

アンスティチュ・フランセ東京(新宿区)の「建築家・坂倉準三 パリ ‐ 東京:生き続ける建築」展【2018年09月06日(木)〜2018年09月30日(日)】を見てきました。

坂倉準三「パリ万博日本館」

本建築設計の坂倉準三氏は戦前のパリ万博日本館にて一気に知名度が上がったという経緯があり、フランスとは縁の深い建築家です。

今回は氏自身が設計した建物内での小企画展示です。

 

坂倉準三「岡本太郎自邸」

フランスの建築家、ル・コルビジェの弟子でもある坂倉氏は戦後もフランス帰りの岡本太郎の青山の自邸(現・岡本太郎記念館)を設計するなど、フランス、パリ人脈での仕事を手がけました。

坂倉準三「新宿西口広場」

そんな坂倉氏の設計で今日もっとも目にするのは新宿西口広場です。

普通の地下街にしても巨大な通気口が必要なことから、逆転の発想でそのまま半外部空間にしてしまうという斬新な手法は世界でも珍しく、新宿を象徴する光景となっています。

小田急デパートが入居する駅ビルも坂倉氏設計です。

坂倉準三「東急文化会館」

しかし新宿とともに代表作だった渋谷計画はメインの東急文化会館が取り壊し、大阪の難波でも南海会館大阪スタヂアムが取り壊されました。

坂倉準三「神奈川県立近代美術館」

単独の建築でも最大の代表作である神奈川県立近代美術館が閉館するなど、彼の代表作は見れるものがどんどん減っています。

そんな中で、アンスティチュ・フランセ東京は坂倉氏の建築がきれいな状態で見れる貴重な例。外観的特徴は今日では珍しくなった、マッシュルームコラムと呼ばれる柱。柱の頭をマッシュルームのように広げることで床にかかる重量を一部受け止めることにより、床の厚みを抑えることができます。

内観では複雑ならせん階段が特徴的です。

坂倉準三「椅子」

今回のパネル展示は坂倉氏の業績をまとめたものなので、それほど新しい発見はありませんでした。

よってメインの展示は坂倉氏の建築を用いた動画作品です。

 大槻一雅「生命線”la ligne de vie”」

アンスティチュ・フランセ東京と新宿西口広場を扱った動画で、特に西口広場は都市のダイナミックな動きを捉えており、なかなかかっこいいです。

 

展示自体は小規模ですが、建物はおすすめです。

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