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石そのものを提示する「長谷川さちの彫刻ーレイライン」

平塚市美術館の「長谷川さちの彫刻ーレイライン」【2017年12月2日(土)~2018年4月8日(日)】を見てきました。

平塚市美術館は巨大な2つのボールト屋根(かまぼこ型の屋根)の建物が2棟連なるという、非常に明確な形状をしています。

この魅力的な空間を単なる展示室のアプローチにしとくのはもったいない!というわけで、美術館では定期的に「ロビー展」を開催しているようです。

今回紹介されるのは長谷川さちさん。テレビ番組「ブレイク寸前」に紹介されたこともある注目の若手とのことですが、美術館での個展は初とのことです。

長谷川さち「長い耳」

大きな会談にぽつんと置かれた作品。形状は明らかにオランダの絵本作家のアレを意識しています。

長谷川さち「白い家」

初期は彫刻の形状にこだわっていたが、徐々に形に囚われなくなったとのこと。

 

個人的には砂岩を使った一階に展示されていた作品より、2階の黒御影石の作品の方が好みです。

長谷川さち「brush」

海坊主のような造形が面白い作品ですが・・・

石の模様が何か呪術的なものを連想させます。

長谷川さち「rope」

地面にゴロンと置かれた作品。写真では伝わりにくいですが、角のない丸みを帯びた造形はマフラーの落とし物のように見えます。

長谷川さち「風の家」

長谷川さんはあえて蚤跡を残す造形にこだわっているようです。

作品というより石そのものを提示するという姿勢はかつての「もの派」に通じますが、こちらはあまり彫刻に使われない素材を用いることで、石そのものの面白さを伝えることに成功していると思います。

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