東京都新宿区の聖徳記念絵画館に行ってきました。
明治神宮から外苑前までの一帯は明治天皇崩御の後整備された緑地で、絵画館もその事業の一部として建てられました。
なので絵画館もその周辺の施設と一体的に鑑賞するのが正しい見方です。例えば絵画館に至るいちょうの並木は地面が高くなっている青山方面に向けて徐々に木自体も高くなっています。このことにより遠近感を強調し、整然とした印象を持たせています。当然この剪定にも大変な労力がかかります。
中央のホールは13種類のも大理石を使っています。
現在正面にある大階段は以前はVIP専用の入り口で、一般客は地下からアプローチしていました。
絵画は明治天皇の歩みを80枚の絵画で振り返るというものです。偉大な明治天皇を偲ぶというより、明治天皇の人柄を思わせるものが多数ありました。日清、日露戦争を経て、絵画が制作された大正時代には既に天皇の役割が相当変化していたと思われます。
絵画の中には天皇が描かれていないものも多数あります。実際には明治を振り返るという意味も大きい事業だったと思われます。ちなみにこの絵画は兵士800人を動員し再現演習を行った上で描かれたそうです。絵画館が大変な国家事業だったことが分かります。
皇后が単独で描かれているものも多数あります。意外と多面的に明治を捉えていたことが分かるとともに、皇后の役割が既に相当大きなものになっていたことも分かります。
現在歴史認識で騒がしい日韓併合も淡々と事実を解説されていました。この歴史を肯定的、否定的に捉える意見の違いはあるでしょうが、当時の認識を学ぶという意味で歴史教育には大変有益だと感じました。
都心で戦争も経て90年間も建物の内外が維持されるというのは大変なことです。学校では明治以降はあまり教育に力を入れていませんが、もっと注目されてもいい施設だと思います。ナンコレ度★