• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

コンセプトが迷子?多摩川オープンアトリエ

東急多摩川線多摩川オープンアトリエ2017(2017年12/9-12/10)を見てきました。

大田区に美術館など大きなアート関連施設がまだないのですが、それを逆手に取り街中でアートイベントを開催する試みを行っています。特に大田区は工業地帯が多いので、アートファクトリー城南島を中心に工場×アートの試みは個性的です。

 

今回のイベントは大田区のアーティストが東急多摩川線周辺にアトリエを構えていることから、それらのアトリエを公開するというイベントです。

 

開催地は多摩川駅から武蔵新田駅の間にまたがっていますが、徒歩圏内です。東端の武蔵新田駅のくりらぼ多摩川でマップを買ってから出発です。

 

臼井良平さんは水の入ったポリ袋など不形物をガラスで彫刻する作家さんです。

三井記念美術館驚異の超絶技巧展にも出品してた実力派で、作品自体は文句なしですが、これ一点だけというのは寂しいですね。アトリエでもないし、物置の中にペットボトルを置く意味も分かりませんし。

同じ空間には新垣美奈さんの絵画作品もありました。夜に住居内がチラチラ見え隠れする光景に惹かれるそうです。

部屋にどーんと置いてある機械はNHKのドラマでも使われたものだそうです。

 

 

武蔵新田駅と鵜の木駅の間には昭和の暮らし博物館があります。オープンアトリエより賑わってました。

岡真由美さんと 佐々木文美 さんはなんと鵜の木駅からほど近いコインパーキングで展示。もともと自宅を公開する予定が引っ越しになったので急きょこのような展示になったとのこと。

三角形の魅力を伝えるというインスタレーション作品です。一番現代美術っぽい展示だったとともに一番ゆるかったです。

多摩川のアート活動の中核をになうhasu no hanaでは長坂絵夢さんの展示です。

一貫して鉄を使った表現をしている長坂さん。大田区の工場で屑鉄を貰ってきてそれを地道に加工して木の葉などを作っています。

面白かったのが土まで鉄で表現したインスタレーションです。

近くによると工場のオイルの臭いがします。鉄が土に還っているところを表現したそうです。

 

 

沼部駅を北上したところにある鈴木侑馬さんのアトリエではシルクスクリーンでTシャツ製作の体験ができます。他にバンド活動やジャケットイラストを描いたりしてるそうです。

 

 

多摩川駅近くでは市川平さんと・・・

松本力のアトリエです。空間が市川さんのトレードマークであるおもちゃの車で埋め尽くされています。

アトリエ内では松本さんの映像作品が流れています。

屋外では市川さんの大型作品も。

 

 

部分的には駐車場で展示を行ったり、多摩川のアトリエ公開など光るものはありました。

ただ全体として本当にアトリエを公開してる作家さんが少なく、コンセプトが迷走してる印象を受けました。多摩川や大田区ならではの作品を展開している人が少ないのも気になります。個々の力量は感じただけに、全体をコーディネートする存在がいないのかな?と感じました。

コメント一覧

Hasu no hana フクマカズエ2017年12月11日 1:05 PM / 返信

はじめまして。こんにちは。Hasu no hanaのフクマカズエです。 レポート詳しくありがとうございます!!そしてご参加いただきありがとうございます。 反応があるというのは嬉しいことです。 さて、少しお答えになるかなーと思ってこちらにコメント残させていただきます。 多摩川オープンアトリエは、多摩川線沿線を制作拠点に活動しているアーティストたちが Hasu no hanaの声かけによって、それぞれが同時多発的に展覧会やアトリエ公開を する、というもので、あくまで個人主体で一同に開催しているオープンアトリエ や展覧会をみれるイベントという感じです。 とは言ってもそれではわかりずらいので、声かけ人であるHasu no hanaが自主的に全体のmapやチラシを 作ったという感じで、何か組織的に運営しているだったものではありません。 ご指摘の”本当にアトリエを公開してる作家さんが少なく”ですが、名称の 多摩川オープンアトリエの由来は 下丸子・武蔵新田を中心に行われている職人の町工場を公開している 「おおたオープンファクトリー」 といずれ連携できたらいいね、ということで、アーティストのアトリエ or 作品を公開する 「多摩川オープンアトリエ」  という名前がつきました。2015年にごくうちうちで開催し、2回目の今回は実際に「おおたオープンファクトリー」との 連携させていただきました。 Hasu no hanaはその接続となる展示として、大田区にあるアトリエ城南島 Art factoryで制作 している長坂絵夢に、おおたオープンファクトリーに参加している4つの町工場を取材した内容を展覧会に入れた ものになっています。 そして、おおたオープンファクトリーの本部でもある くりらぼ多摩川 が場所を提供してくれ、 アトリエが自宅でもあり公開できない、という新垣皆・臼井良平の展示会場となりました。 Hasu no hanaでの展示はおおたオープンファクトリーと多摩川オープンアトリエのハブ的な展覧会を 企画しましたが、その他の参加しているオープンアトリエに参加している方々は、それぞれの自分のやりたいことを やる、普段自分の行っている作品を見せるといったもとなっておりました。

    kubo-hiroshi2017年12月11日 9:05 PM / 返信

    フクマさま。メッセージありがとうございます。僕の方でもこういったメッセージで反応があるのが一番ブログやっていく上で励みになります。Hasu no hanaはこの前le coconの展示の時に初めて行きました。僕の家からは遠いけど個性的な活動されてるみたいですね。 オープンアトリエの経緯ご説明いただきありがとうございます。行政の支援のない中の活動だと資金面で大変ですね。ただ、量で美術館に勝てないなら路上や小施設ならではの空間を生かした展示をアピールすれば、もっと盛り上がると思います。今後のイベントも期待しています。

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