青山のワタリウム美術館で開催中の「リボーンアートフェスティバル東京展」(2017年10月20日[金]-12月10日[日])を見てきました。
ワタリウム美術館は青山のキラー通りにある、マリオ・ボッタ氏設計の美術館です。また公共機関も企業も関わらない、日本では割とレアな私設美術館です。カフェやショップも充実してます。
今回の展示はワタリウム美術館も深く関わった宮城県石巻市で行われた「リボーンアート・フェスティバル2017」(7月22日-9月10日)の一種の振り返り展です。
美術館の階段部分には「TERRADA ファイナリスト展」でも紹介したコンタクトゴンゾの「鹿ウォッチャーと深夜ドライブ」を展示。
窓のスリットには2階に金氏徹平氏の「White Discharge(建物のようにつみあげたもの/石巻)」3階に名和晃平氏の「神話(石巻にて)」を展示。準備は万端です。
ただ石巻の環境に合わせて作った作品を東京の美術館で展示することに意味があるのか、不安もありました。
実際見てみると、やはりほとんどの作品は、場所や意味が切り離され、「なんだか不思議なものがあるなあ」という異常には感じないものがほとんどでした。
ただいくつかは展示の空気を再現出来ていると感じた作品もありました。ちょっとピックアップしてみます。
工事現場のそばで楽器を演奏(?)するというビデオ作品です。「工事中」という交通にとってマイナスなものを楽しいものに変えたかったとのこと。この作品は野外の階段に展示されていて、都市の喧騒をうまく取り込んでいました。
島袋さんといえば僕は「そしてタコに東京観光を贈ることにした」というたわけたビデオ作品が強烈に印象に残っています。
石巻では海岸の漂流物である樹木などを「起こす」という楽しい参加型パフォーマンスを試みました。ワタリウムではその映像作品を出品です。
さらに島袋さんは階段で、「起きる」という作品も発表。
これは横向きに生えていた植木鉢を倒して展示しただけの作品です。極めて日常的な光景に意味を付加するという手法がユニークです。
今回の東京展で明らかに一番気合が入っていた作品です。遠目にはサイケディックなシャンデリアですが・・・
近くで見ると道路工事で車や歩行者を誘導する機材であることがわかります。このシャンデリアとその下の仮囲いのパネルに投影される映像がセットです。映像ではガードマンのフル装備のままスケートボードで遊ぶというものです。
さらにまったく案内はないのですが、美術館の道路向かいに目を向けると、正面建物の屋上にも作品が!
全体的に石巻の展示を東京にもってくるのは無理があると思いますが、細かい遊び心が光る展示でした。
ちなみに地下のショップではカオスラウンジの弟子だという磯村暖氏の個展をやっており、いつもにも増してカオスな空間でした。こちらもついでにどうぞ。