• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

現代アメリカの病理【悪・魔的】コレクション~evil devil~

ヴァニラ画廊(銀座)の【悪・魔的】コレクション~evil devil~【2018年5月30日(水)~2018年7月1日(日)】を見てきました。

 

都内の6か所で同時に行われる「悪」に関する展示の一貫です。極小のスペースにも関わらず1700円という森美術館もビックリな強気な価格設定。にもかかわらず、会場は満員でした。

その展示内容はシリアルキラーのコレクションと、ホラー映画の小道具、怪奇漫画の原稿などです。

ジョン・ウェイン・ゲイシー

といっても映画と漫画の資料は添え物程度で、メインは殺人者たちの作品群だと感じました。それぞれ殺人者ごとに長文の陰惨な殺人歴が紹介されています。

ウィン・ロー

具体的には絵画、写真、コラージュ、刺繍、手紙など。ただどれも技術的に稚拙なものが多く、かといって高い精神性を感じるということもないです。

チャールズ・ミルズ・マンソン

作品そのものより強く感じるのは現代社会が抱える闇についてです。シリアルキラーたちはほとんどがアメリカ人で、作品の多くは獄中で描かれています。

つまりアメリカにはシリアルキラーの作品を欲しがる人が大量におり、殺人者はそれを商売にして大儲けできるというシステムが確立しているわけです。アメリカ社会の病理の深さを感じます。

ダニエル・ジョンストン

これはちょっと面白い…と思いましたが、これは犯罪者の作品ではないようです。どうも現実の犯罪者は「羊たちの沈黙」のようなスタイリストはおらず、ひたすら壊れたダメ人間ばかりのようです。

コメント一覧

★平清盛はスケベオヤジ?「江戸の悪 PARTⅡ」 – 博司のナンコレ美術体験2018年6月22日 7:10 AM / 返信

[…] ヴァニラ画廊など複数の美術館、ギャラリーなどで「悪」について展示するという企画、その中核を担うのがこの浮世絵美術館の名門、太田記念美術館です。 […]

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