• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★構造美の巨大建築「フォスター卿の建築術」

 

映画「フォスター卿の建築術」を見ました。

 

ノーマン・フォスター氏はイギリスの建築家です。

特徴としては大規模建築の作品が多いこと、ハイテク建築が多いことです。

また映画ではその事務所も非常に大規模で、1000人以上が働いているとのことです。

作中にはフォスター氏のサイクリング、スキーなどの趣味のシーンも出てきます。

難病も克服した極めて頑強な肉体と精神の持ち主のようです。

 

しかしメインは建築の映像の美しさ。

オフィスビルの作品が多いだけに、内部を見れないものも多いです。

ここでは特に気になったものをピックアップしたいと思います。

 

5位.ハースト・タワー

ニューヨークにあるオフィスビルです。

ニューヨークにしては小さいビルです。

大きさ以外の特徴を出すためのブレースは構造的に鉄骨の量を減らすことができます。

一見地味ですが、フォスターらしいハイテクビルです。

芸術の一大拠点だけあって、このビルはアーティストの多くがコメントを寄せています。

特にリチャード・ロングはビル内に泥を使った巨大作品を設置しています。

きわめて合理的に作られているにも関わらず、多くの芸術家を惹きつけるのはそれだけではない「美しいものを作りたい」という意思があるからです。

 

4位.ウィリス・フェーバービル

こちらもオフィスビル。初期の作品です。

ハイテク建築は当初は芸術方面には受けず、フォスターはオフィスビル建設からキャリアを始めています。

外観だけでなく、内観も緑に溢れています。

天井は自然光を入れるようにしてあり、真ん中を吹き抜けにして解放感を演出しています。

動線の明確さも特徴です。

 

3位.センズベリーセンター芸術研究所

ハイテクさをアピールした透明感溢れる外観が特徴です。

外も中も構造をむき出しにしてテクノロジーをアピールしています。

この作品はバックミンスター・フラーとヘリコプターから見たというエピソードが語られています。

フォスターの軽やかな作品はフラーの影響を受けているようです。

 

2位.北京首都国際空港

オフィスビルからキャリアを始めたフォスターは巨大建築の設計に定評を産むことになります。

空港を4つも設計した建築家は極めてまれです。

特に中国は香港国際空港を設計した10年後、北京首都国際空港も任されています。

龍をイメージしたという外観が特徴です。

内観の解放感も特徴です。

これによって目的地も分かりやすく、使いやすい空港にもなっています。

天井パネルの色も中国の伝統を意識したもので、特徴の一つです。

 

1位.ミヨー橋

これは建築というより土木ですが、地震国日本では絶対に見れない軽やかな橋です。

下から見ても非常にすっきりとしたデザインです。

主塔とケーブルのパターンが美しいリズムを形成しています。

構造美が特徴のフォスターにとっては究極の建築といえます。

 

フォスターの日本の作品はあまり面白くないので、海外に行った時が楽しみになる映画でした。★★

コメント一覧

建築図鑑134★★プログラムの傑作「埼玉県立大学」 – 博司のナンコレ美術体験2019年6月16日 12:03 AM / 返信

[…] 黒川紀章氏(クアラルンプール国際空港)、ノーマン・フォスター氏(北京国際空港)、レンゾ・ピアノ氏(関西国際空港)、原広司氏(梅田スカイビル)などは皆このプラグラム建築の名手です。 […]

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