• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

拭えない違和感★ 建築図鑑282藤城清治美術館

栃木県那須町の藤城清治美術館に行ってきました。

藤城清治氏の美術館は山梨、長野、北海道にもあり、非常に人気の高い作家です。

その中でも那須の美術館は近くに当年98歳の藤城氏本人が住んでいるためか、Twitterの活発な活動のためか、本家美術館というイメージがあります。

妻が藤城氏のファンでありながら、まだ本美術館に来たことがないとのことなので訪問してみました。

那須のかなりの奥地にあり、結構分かりにくかったです。

山梨の同美術館に入ったことがあったのですが、こちらはリゾート地らしくアーティスティックな建物です。

藤城氏の作風にあわない現代的な作りです。

設計は竹中工務店設計部とのこと。

立方体と三角屋根の連続で、壁もトラス構造にして三角形にするという単純な繰り返しながら表現主義的な建物が森に埋もれるように建っています。

インスタ爆上げ要素である「森のテラスでカフェ」は現在コロナで休止中

敷地内の協会にも同氏の作品があります。

 

内部の展示自体演出は山梨のものとダブる部分もありますが、藤城氏のアトリエを再現した部屋や、大仕掛けな影絵劇場などオリジナル要素もあり、ファンでなくても楽しめる内容でした。

また近所に藤城氏が住むせいか、東日本大震災後の東北の作品など、近年の作品があるのも特徴です。

 

本建築、藤城氏の世界観に合わないと思っていましたが、それもそのはず、建物はパルコの創業者増田夫妻が集めたニキ・ド・サンファルの作品を展示するニキ美術館の跡地をそのまま利用したもの。

ニキの多様な作品を展示するため、モダンで設計で自然光を入れた部屋と閉鎖的な部屋を両方用意したものでしたが、藤城氏の作品に自然光はあまりいらないので、大半の部屋は真っ黒な壁紙で覆った没個性的な空間になっていました。

もっとも三角屋根の形状が内部にも及ぶ天井に映像を投影したり、2階のロフト部分にアトリエを再現したり工夫も見られました。

どんな空間にも合うのが藤城氏の作品の特徴かもしれません。★

コメントを残す