オペラシティギャラリーは毎回個性的な展示方法で驚かされますが、今回の展示はギャラリーではありうるような前衛的な展示を美術館の空間でやってみたという印象です。
いつもの廊下部分にコインロッカーが並んでいます。
いつものコインロッカーの部屋は怪しげなセミナールームみたいになっています。
その手前のサインまで不穏な雰囲気のものに置き換えられています。
上のサインは秘密結社の暗号のようだし、下の黒塗りは検閲を思い浮かべます。
廊下にあるロッカーからコートを受け取り、インフォメーションを聴いた後展示を見る形式です。
この音声ガイドは野性に帰るという展覧会の主旨が語られますが、それよりガイドの聴き手?の「やりたくないなあ」「同意はできない」「それならやれるかなあ、いや、やれないなあ」などといった受け答えが面白い。この反骨精神?こそ野生では?それとも指示に従うも従わないも自由ということを伝えたいのでしょうか?
ロッカーで受け取るコートは支柱と杭(ここでは水の入ったペットボトルで代用)を使ってテントにもなります。設営はそれなりに重労働です。
テントを設営し、番号札を受け取ってテント内で待ち、VRの作品を体験して展示は終了です。
受付では体験作品もあると言っていましたが、テントを片付けるスタッフ(もしかすると他の係も)が実は一般客であることを音声ガイドで示唆していました。
一連の展示を見る(体験する)だけなら混んでなければ40分程度、それも音声ガイドが半分弱を占めます。
そのためボリュームが少ないことが度々あるオペラシティの展示の中でもかなりアッサリ気味です。
展覧会の見る前と後で鑑賞者の中で何かが変わるのがいい展示だとどこかで読みましたが、本展覧会は前後で変わったことと言えばテントはコートとしても使えるということだけでしょうか。
もっとも墓標のようにテントが並ぶ不気味な光景を鑑賞者が自ら作っているというのはなかなか面白くはあります。★