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★日本画のイメージを壊す。佐久市立近代美術館コレクション+「現代日本画へようこそ」

太田市美術館・図書館(群馬県太田市)の佐久市立近代美術館コレクション+「現代日本画へようこそ」【2018年5月3日(木・祝)~2018年6月10日(日)】を見てきました。

建物は2017年にオープンしたばかりの駅前美術館・図書館です。

展覧会の構成は日本画家のうち現役の5人を1階、3階とスロープ、戦後活躍した画家を2階に展示するというものです。

谷保玲奈「境界の腫れ物に触れる」

1階の展示室は谷保さんが3.11の影響を受けて制作した作品など大型作品が並びます。

またここで現役作家5人の1時間ほどのインタビュー映像も見れます。

市川裕司「rooms」

2階へ向かうスロープでは市川さんのインスタレーション作品2点が見られます。ウレタンフォームで作ったリンゴに箔押しした作品と・・・

市川裕司「世界樹Ⅷ」

ポリカーボネートに箔押しした作品です。

作品の裏側も通れます。

外からも見えます。キラキラ光って視認性は高いです。

3階の小展示室では内田あぐりさんのドローイングと「河」が見えます。

内田あぐり「河」

緑の河に人体のようなものが流れているかなり不気味な作品です。1階の「三態」もそうですが、内田さんは汚れたものに美を見出す質のようです。またこの作品は屏風状ですが、裏側は

かなり過剰に材木で固定されていました。これも3.11で流されるものを堰き止める意味を込めたのでしょうか?

 

2階の作品は前期と後期で入れ替わるため、見れる作品はかなり少ないです。そもそも展示室も2,3階はかなり小さく、展示規模は大きなギャラリー程度。しかし現代作家のインタビューも見れるし、入場料分のもとは十分とれます。★

ところで現役作家5人の作品はどれも日本画のイメージとは程遠いものばかり。これらをあえて「日本画」と括って展示したことが本展覧会の最大の功績かも。

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