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それほど好きならなぜ壊した?建築図鑑62「Ginza Sony Park」

Ginza Sony Park(銀座)に行ってきました。

 

ソニービル跡地に新ビルを建設する合間に期間限定でオープンした一種の仮設建築です。

芦原義信「ソニービル」

芦原義信氏の代表作の一つであるソニービルはそのスタイリッシュな外観と・・・

敷地を4分割し、階段が1/4階ずつ登って行くようになっていました。各フロアがショールームのようになっているという斬新な設計でした。

非常に多くのファンがいたソニービルですが、スクラップ&ビルドが大好きな日本の風土のせいか、はたまた数寄屋橋交差点前というあまりにも好立地なせいか、半世紀で解体となりました。

この建物はソニービルの地上階をほぼ解体した後、地階をそのまま生かした施設となっています。

ビル側は垂直4層の公園と称していますが、ほとんど地下ばかりであまり店も入っていないので、休憩所もしくはショールームといったところです。

 

屋根がなくなった分増々利用が難しくなったような・・・

スキップフロアの構造を生かし、路面からも中が伺えるようになっています。

そのためショーウィンドウ効果はソニービル時代より高まっていると思います。

写真はかき氷屋さんです。

建築的にはソニービル時代の柱、床などの構造体がむき出しになっているのが面白いです。

建物の構造を生かした視線の抜けが工夫されており、仮設建築らしからぬ力の入れようです。

写真は芸術家JRの作品です。

やはり最大の見どころは地下4階までの吹き抜け空間です。

 

中ではイベントや店舗が散見されます。

とはいえ休憩所として利用されている側面が強いようです。

各展示物にはソニービル時代を懐かしむものが多かったです。

おそらく解体派も解体反対の声が強いことは分かっていたのでしょう。なのでこの施設はその不満のガス抜きに使われている印象を受けました。

施設自体は結構好きになりましたが、そういった日本的解決は癖癖します。

 

ところで今回一番の大発見は地下4階に直結した銀座地下駐車場でした。

端が見えないほど広いです。

現地にあった模型写真によるとこの駐車場は405号線を並木通りから新橋駅に突き当たるまで続いているようです。

竣工当時の写真を見ても、最大の変化は止まっている車のデザイン。実はこの駐車場こそが銀座で最も保存されている建物(?)かも。

 

新しい発見を与えてくれる建物ではありました。

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