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建築図鑑26★イタリアデザイナーVS日本の土地事情「東京デザインセンター」

今回は五反田の「東京デザインセンター」に注目してみたいと思います。

設計はイタリア人のマリオ・ベリーニ。建築家としてより、椅子などのデザイナーとして有名です。

 

敷地は五反田駅から徒歩3分ほどの電車内からも見える立地ですが、この敷地、いろいろ問題を抱えていました。まず、

➀敷地が前面道路方向に長い長方形状

これだけなら大して珍しくもないのですが・・・

(新建築より)

②道路正面に別の建物が食い込むコの字型の敷地

上の画像の凹部分は別のビルが既に建っていました。

中央のガラス張りの建物がそうで、店舗、事務所を構える上で相当マイナスでした。その上・・・(新建築より)

③急斜面上の土地

土地は道路から背後に向けて崖のような急斜面になっており、道路側の

1,2階部分はろくに店舗の入れられない状況でした。

 

このような三重苦に対して、ベリーニが出した結論は・・・

この道路から60°の角度を持つ階段でした。

階段は3階まで続きます。アイ・ストップには唐突にイタリアの彫刻家ミモ・パラディーノの馬の彫刻。

階段の上から見下ろしたところ。ヨーロッパの古い迷宮都市をヒントにしているのも知れません。

建物の裏側も相当キテレツな光景。植木鉢(?)が並んでいるのはイタリアの庭園風なのかもしれませんが、日本の植生にあっておらず、奇怪です。また階段の上にも斜面は強引に回遊式庭園にしてますが、その先の民家でぶった切られており、回遊できない(笑)せっかく建物をぶち抜いてガレリアを通しましたが、道は建物の裏には通じてないのです。

立面図で見ると、ガラス円筒のエレベーターホールや整然と並んだ植木鉢が決まってますが、実物は良くも悪くも植物に侵食されてます。

ちなみに正面は開口部に石の扉のような飾りがついていて、なかなかクール。

入居企業の案内ボードもオシャレ。やはり中層階が一番広いのでしょうか?

 

イタリア人デザイナーも日本の土地の特殊事情には敵わず、キテレツな建物が増えただけでした。とはいえ五反田駅前でちょっとした冒険気分が味わえるので、そういった意味ではおすすめです。★

 

コメント一覧

一歩も歩かず建築ツアー!山手線から見える建物だけ集めてみた。 – 博司のナンコレ美術体験2019年6月10日 5:41 AM / 返信

[…] 東京デザインセンター【マリオ・ベリーニ】 […]

★★建築図鑑215ベリーニの丘 – 博司のナンコレ美術体験2021年10月9日 10:39 PM / 返信

[…] これにビジネスマンが弁当を食べるための緑地が付くのはよくあることですが、この公園のデザインをイタリア人デザイナーのマリオ・ベリーニに依頼。 […]

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