国立新美術館(乃木坂)の「21st DOMANI・明日展」【2019年1月23日(水)~2019年3月3日(日)】を見てきました。
国が支援する若手現在作家の展覧会です。会場の国立新美術館の2E室は天井が高く、自由度の高い展示が可能な空間です。
にも拘らず、去年にも増して空間を生かせていない作家が多く見受けられます。
むしろ小さい作品や、床に置いた写真作品など、ますます内にこもった作品が多くなった印象です。
かといって表現に新しいものを感じるかというとそんなこともなく、六本木クロッシングを薄めたような作品が多いです。
そんな中、ゆういつちょっと面白かったのが加藤翼氏。
紐で縛られた状態で演奏したり・・・
長いテーブルで車道を塞いだり、その上を走らせたりした作品でした。
展覧会のメインビジュアルに使われたいたこの作品、何だろうと思っていましたが、長いテーブル(実際はテーブルというより長いベニヤ板の工作物にテーブルクロスをかぶせたものに近い)でした。
黒いラインはテーブルの上を車が走った痕です。
その他、鶏に道路を横断させる作品では・・・
鶏の実物を模した(?)鳥籠入りのモニターも展示されていました。
作品は公共インフラ事業に対する不満が込められているそうで、遥かに発展した日本でも同様の問題が起きていることを考えると、今や世界共通のテーマなのかも。
この作家のみが、対外世界に目を向けた作品を作っていた印象です。
結局一番見ごたえがあったのが三瀬夏之助氏の作品でした。
「日本の絵」と題された本作はまさに日本そのものを描いています。
いつも見ている上下関係が逆転するだけで、全く別のものにも見えてくるのが面白いです。
小さな島もちゃんと再現されています。
銀箔の絵と金箔の絵を合体させてできたという作品です。
近くて見ると鉛筆が貼り付けてあったり、具体的なイメージが描かれていたりします。
作品を裏から見たところです。
足元に置いてある作品も上の作品の一部だと思われます。
日本といえば富士山というわけで、富士山が大量に描かれた作品。
展覧会の最後にやや挽回したものの、これで入場料1000円は高く感じます。
現在の日本政府の芸術支援策ではこれが限界なのかもしれませんが・・・