2018年12月12日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★小さな世界と大きな展示室「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展」

国立新美術館(六本木)の「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果」【 2018年1月13日(土)~2018年3月4日(日)】を見てきました。

 

DOMANI・明日展は文化庁が行う若手芸術家の海外研修制度です。

この展覧会は20年目であり、歴代のポスターが飾られていました。登場する作家は錚々たる顔ぶれで、批判されがちな日本政府の芸術家助成制度も一定の成果を上げていることが分かります。

mamoruの展示風景

展示は比較的若手の作家を11名、一部屋ずつあてがうというものです。ただ国立新美術館の天井の高い巨大な空間を生かせてない展示がほとんどでした。ほとんどの作家が個人的な興味から作品に発展させていってるわけですが、作品自体も小さな世界から広がりがなく、かつ説明も不十分なので「それで?」というものが多かったです。

雨宮庸介「スワンソングのために(人生最後の習作)」

ほとんどが素通りしてしまう作品の中、注目したのが雨宮庸介さんの作品。人生最後の大作を準備するというパフォーマンス作品で、作者本人が滞在してます。人生最後の作品(最後だけど8個ぐらいあるらしい)の構想を10分ぐらいのショートバージョン(本来は5時間ぐらいかかるらしい)で説明するというもの。

構想の内容は共感覚を用いた集団劇みたいなものらしいです。

展示物自体は石膏像を拡大して描いたものの一部など、イマイチ関係性は不明ですが、巨大な空間はフル活用してますね。

 

 

他に興味深かったのはやんツーの作品。

謎めいた説明があるだけで意味不明ですが、どうも走り回るセグウェイが新作でそれ以外が旧作。セグウェイが旧作を鑑賞している体裁です。鑑賞者を人工的に作り出すことで完全自己完結型の作品を試みています。

 

 

猪瀬直哉「オールモストブルー」

絵画作品で唯一すごい!と思ったのが猪瀬直哉さんの作品です。プールサイドに立つペンギンはなぜかグッズ化されてショップに並んでいました。

猪瀬直哉「ポリリス」

SF小説の装丁に使われそうな作品ですが、実物はかなり精緻に描かれていて相当なパワーを感じます。川辺の石などの細かい描き込みが白い大理石(?)の巨大なスケール感を強調します。

猪瀬直哉「ヴァニタス」

伝統的な静物画に突如挿入されるガイガーカウンター。静物画が当時の美しいと思ったものを集めたものなら、ガイガーカウンターに美を感じてもおかしくない。ガイガーカウンター=放射線=死=静物という連想も成り立ちます。

猪瀬直哉「文化的景観ー希望の漂流」

廃墟化した巨大都市に整然と流れる下水道。廃墟化した都市の下に新たな文明が築かれているのか?など色んな妄想が浮かびます。

猪瀬直哉『快楽の園(「未修復ーボッシュへのオマージュ」、「修復完了、「修復中」』

左から右へ時間の流れを示すのか?それとも手前のボッシュの絵は単なるビルの看板なのか?宇宙規模のスケールを感じます。

 

全体としてみると助成を受けたアーティストも色々だな、という平凡な感想しか浮かんできません。とはいえ若手の様々なアーティストの展示をこれだけの規模でまとめて見れるのは結構貴重かもしれません。ナンコレ度★★


未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果

会 期: 2018年1月13日(土)~2018年3月4日(日)

毎週火曜日休館

開館時間: 10:00~18:00 ※金曜日・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで

会 場 :国立新美術館 企画展示室2E

 

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