2018年10月17日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★対話ができないことから「現代日本演劇のダイナミズム」

早稲田大学内にある博物館で、これまでもあゝ新宿―スペクタクルとしての都市」テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会など名企画が多かった博物館です。

 

今回の展示では現代に繋がる劇団を現役のものを中心にパネル、映像で紹介し、その傾向を探るものです。

日本現代演劇と銘打っていますが、いわゆる商業演劇に反発があるのか(しかし2.5次元は出てる)、劇団四季などは紹介されていません。その一方で新宿眼科画廊でやってるような一人芝居のような演劇は紹介されています。逆に今回の展示に傾向が近いように思える水族館劇場は出ていないなど、紹介されているのは早稲田大学の趣味もしくは人脈があるものだけなのかもしれません。

 

いずれにせよ網羅性は欠けるとはいえ、このような大量の演劇が紹介される展覧会は珍しく、色んな発見がありました。

 

劇団を分けるジャンルは「2.5次元」「モロローグ」「音楽」「静かな演劇」「史実」「ノンフィクション」など。中にはよく分からない分類もありました。また、複数のジャンルに登場する劇団も。

天井桟敷「ノック」
特に興味深かったのが「ノンフィクション」です。これは寺山修司の「天井桟敷に代表される、演劇と現実の境界を曖昧にしたものです。

 

飴屋法水「いりぐちでぐち」
このようなタイプの演劇は他に知らなかったのですが、岸井大輔氏や飴屋法水氏の一連の作品、観客が指示に従って街を巡る「演劇クエスト」など、色んな作品があることを知りました。
維新派「〈彼〉と旅をする20世紀三部作#3 台湾の、灰色の牛が背伸びをしたとき」

舞台の仕掛けが特殊なものも面白かったです。水辺など特殊な場所で超巨大インスタレーションともいうべき舞台を展開する「維新派」は別格としても・・・

地点「光がない。」

地点の作品などは大仕掛けでなくても空間の作り込みは全く負けていないと思います。

 

ままごと「我が星」

ミュージカル調の歌やダンスを強調したものも多かったです。

井上ひさし「日本人のへそ」

蜷川幸雄「ビニールの城」

また、井上ひさし、三谷幸喜、別役実など大御所の作品も沢山取り上げられていたのも嬉しかったです。こういった古い情報も意外とキャッチするのは難しいです。

 

ヌトミック「それからの街」

一番多く紹介されていたのが自分の内的世界を表現した独白形式のものや・・・

小田尚稔「悪について」

ごく少人数で作っているやはり個人史的作品です。

個人的にはこういった作品は入り込みにくいのですが、若者には支持されているようです。

「対話ができない若者」がそのまま作品化されている、みたいな解説がありましたが、こういった岡崎京子的世界観はテーマがみみっち過ぎて共感できる作品は少なかったです。

もっともかつての安保闘争的煽動に乗せられる世代よりははるかに健全な気がしますが・・・

 

演劇を見ない人でもざざっと解説を読むだけでも色々発見があると思います。無料だし、会場で映像を見れる作品も多数あるので費用的効果は高いかと。★★

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