エスパス ルイ・ヴィトン東京(表参道)のヤン・フードン「The Coloured Sky: New Women II」(2017/10/18-2018/3/11)を見てきました。
表参道ヒルズの道路向かいにあるルイ・ヴィトンの7階にあります。
パリにあるフランク・ゲーリー設計のフォンダシオン ルイ・ヴィトンの分館という位置づけで、世界の一流アーティストの個展を約半年という長いスパンで開催しています。
中国人アーティストのヤン・フードンは2010年に原美術館の「ヤン フードン―将軍的微笑」という展覧会で紹介されました。
原美術館の特徴である弧を描いた縦長の展示室に長テーブルが持ち込まれ、上から豪勢な食卓の映像が流されます。将軍とは中国の軍閥のことを言っていると思われ、共産党の人民解放軍を始めとする私設軍隊が支配する中国の歴史を表現したものと思われます。
今回も中国の富裕層の享楽的生活を視覚化した作品です。エスパスは複数の展示室を持っていますが、今回は一つの部屋に5つの巨大スクリーンが持ち込まれ、BGMともにエンドレスで映像が流れます。
5つの映像は同じ空間を時間軸をバラバラにして流れています。撮影場所は完全に調整された人工のスタジオ内で、海、砂浜、半透明のボードの家などで構成されます。
登場人物(?)は時代がかった水着を着た5人の美女と一頭の馬、そして二頭の鹿のはく製です。
ときに蠱惑的な笑顔で、ときに憂いを帯びた表情で美女の無音劇がゆっくりとエンドレスに繰り広げられます。しかしビビットな色使いのセットがここが人口の空間であることを執拗に強調します。
映像に特にストーリーはありません。通常の映画は人口の映像をいかに自然に見せるか競いますが、ここでは映画のイメージだけを抽出して人工美の世界を形成しています。
背景の映像が切り替わり、雨なども再現できるので、単一の空間でありながらあらゆる映像を実現できます。
鮮烈な色使いの映像は同じエスパスで過去に紹介されたピエール・ユイグの作品を思い出します。ただユイグの映像が野外で撮られているのに対して、こちらは完全に調整された屋内。金と数の暴力であらゆることを成し遂げる今の中国を思わせる表現です。
5つのスクリーンに次々にいろんなイメージが投影されるので、見ていて飽きません。ナンコレ度★
あえてラッセン展を観にいく – 博司のナンコレ美術体験2018年3月7日 10:01 PM /
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