2018年10月16日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★冷蔵庫の上に唇「ベルトラン・ラヴィエ Medley」

エスパス ルイ・ヴィトン東京(表参道)の「ベルトラン・ラヴィエ Medley」【2018年4月19日(木)〜2018年9月24日】を見てきました。

 

まず入って驚くのが会場の明るさと広さ。前回の展示では真っ暗な空間でしたが、こういった使い方もできるのだと初めて知りました。この空間の広さだけを見てもエルメスに比べてアートギャラリー後進なルイ・ヴィトンがどれだけアート支援に本気か分かろうというものです。

 

ベルトラン・ラヴィエ 「La Bocca sur Zanker」

さて、展示のベルトラン・ラヴィエという人は知らなかったのですが、会場には全く見た目が異なる作品が7点置かれています。

ベルトラン・ラヴィエ 「天文台の時間ー愛人たち」

女性の唇の形をしたソファはマン・レイの絵をヒントにサルヴァドール・ダリがデザインしたもの。

今回はその下に冷蔵庫が置かれていますが、あまりにもサイズがぴったり過ぎて、言われないとただの台座と思って見過ごしていしまいます。

既存のものの組み合わせはレディ・メイドを思わせます。

ベルトラン・ラヴィエ 「Birka」

他の作品も似た傾向のものがあります。これはモンドリアン「風」のテキスタイルに保護色で正方形を描いた作品。

➀もともとほとんどデザインでしかないモンドリアンの絵画が、②テキスタイルになって完全にデザインになってしまい、③それに正方形を書き込んで再び絵画に戻した、というややこしい作品です。絵画とデザインの境界の曖昧さがよく分かる作品です。

ベルトラン・ラヴィエ 「Atomium,detail N°10

博覧会のモミュメントが解体されて売りに出されたことをヒントに作られたそうです。

巨大な弯曲した金属板はフランク・ステラを思わせますが、ラヴィエはなぜかシルバーのアルミニウムにシルバーのゴッホタッチという玄人向けの組み合わせを試みています。「意外な組み合わせ」もダダやシュルレアリスムの基本ですが、ここまで行くともはや素人には理解不能です。

ベルトラン・ラヴィエ 「EMPRESS OF INDIA II」

と思ったらこちらの作品がステラの流用らしいです。

ダン・フレヴィン 「タトリンのためのモニュメント」

ネオン管なので、蛍光灯を使ったフレヴィンがモチーフと思いましたが・・・

フランク・ステラ 「EMPRESS OF INDIA II」

ステラの同名作品をネオン管に置き換えた作品だそうです。

どれもオリジナリティが希薄な作品ばかりを題材にしているようです。ラヴィエはそれらをあえて自作に取り込むことでそのシステムを風刺しているのでしょうか?単に時流に乗ってるだけにも思えますが・・・

 

作品はどれもいかにも西洋人が好みそうな批評性の強い作品で、日本で紹介される機会が少なかったのはそのせいかなと思います。とはいえ空間の面白さを加味して★一つとします。

 

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