2019年4月26日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★建築図鑑68道の建築の最高峰「福岡銀行本店」

福岡県の福岡銀行本店を見てきました。

設計は黒川紀章氏。黒川氏は半世紀以上にも渡る設計活動において、「共生」「利休ねずみ」「スーパードミノ」など様々な言葉を発明し、設計に生かしてきました。その中でも重要なキーワードが「道の建築」です。

江戸時代の浮世絵を見ると、道路が非常に広く取られているのが分かります。これは日本人が往来でのコミュニケーションを大切にした民族であることを示しており、その復活を唱えた建築家は数多くいました。

原広司「京都駅」

しかしそれに実際成功したのは原広司氏の京都駅などごく一部のみです。

 

福岡銀行はこの「道の建築」というキーワードだけでなく、公共空間の在り方という意味でも非常に重要な建築です。

建物面積のうち、1/2弱を外部に開放しています。

しかもそれは地上12階の建物のうち、実に10階までの巨大な吹き抜けです。

福岡の最大の繁華街である天神のど真ん中という土地を黒川氏はよく理解していたのでしょう。

これだけの土地を解放させただけでも黒川氏の功績は大だといえます。

この空間は当初はベンチや彫刻が置かれていましたが、現在はカフェが中心になっています。

イルミネーションなど飾りつけも積極的に行われています。

天井のトップライトと開口部。デザインは派手さはないですが、この絶妙なセンスが黒川流です。

ちなみに銀行の地下にはコンサートホールがあります。

すぐ脇には地下鉄が走っているので、その方面の配慮も大変だったとか。

 

 

黒川氏はその後も、東京大同生命ビル、大阪府立国際会議場、日本看護協会原宿会館、国立新美術館などで「道の建築」や公共空間の実現を目指しましたが、この建物程は成功しませんでした。如何にその実現が日本で難しいか分かります。★★★

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