大阪の大阪国際会議場(通称・グランキューブ大阪)を見てきました。
設計は黒川紀章氏。
パっと見には、単なる箱型の建物で面白みがないです。しかし黒川氏の建築の中でも実は重要な位置を占めています。
実は大小の会議室、イベントホール、コンサートホールを縦に積み上げた施設です。
東京国際フォーラムと違って、制限された狭い土地の中で、どうやって要求を満たすかが設計のポイントでした。
黒川氏の出した答えは、それぞれの施設を縦に積み上げることでした。
6本の巨大な柱(=スーパーコラム)を建て、さらに3、5、10、12階に強力な梁(=スーパーフレーム)を架けることによって天井が高く、室内に柱がない巨大空間を空中に作り出しました。
さらに上記の3、5、10、12階を空調、電気などの設備専用階(メカニカルウェハー)にすることでそれ以外の階の設備を最小限にして、さらに空間を広く使えるようにしています。
このメカニカルウェハー階は車が入って走り回れるほどの道幅と高さを持っており、容易に
設備の入れ替えができるようになっています。
この実績によって黒川氏は国立新美術館の設計を担ったといえます。
建物を低層階から見ていきたいと思います。
1、2階はピロティになっており、盆踊り大会など様々なイベントに活用できます。
ピロティは15.5mの高さがあり、かなり大きな木を植えています。
この木は雨が当たらないので、地下と、天井からの噴霧装置によって育てられています。
奥には舞台のようなものもあり、出店も出ていました。
通り抜け可能で福岡銀行本店で大きな成功を収めた道の建築をスケールアップした形です。
ただ中之島の他の開発との連携はイマイチだったみたいで、道として利用する人はそんなにいません。
2階より下を見たところ。柱の巨大さがよく分かります。
低層階の内装。黒川氏らしいシンプルでクールなインテリアです。
竣工時は最先端だったかもしれないシンプルなエスカレーターのデザイン。
メカニカルウェハーがある階。一般の人は何もない階があって、説明もないので「?」となるに違いありません。
高層階には現代アートも展示されています。
個人的にはこれがお気に入りです。ちょっと具体風?
青いカーペットに乱数表を使ってランダム配置したライトが星のようでカッコイイ!
最上階のドーム型の国際会議場入口。
中はこうなっているそうです。
会議場横のクールな屋上庭園。出れませんでしたが・・・
最上階からの眺め。遠くに梅田スカイビルが見えます。
最上階にはヘリポートと2本の赤いアンテナがあります。シンプルな箱型である本建物の数少ない外に向けての主張ですが、下からはよく見えません。
大阪環状線の福島駅あたりから一瞬見えます。
色々探っていくと、面白さが分かってくるスルメ的建築。黒川ファンは必見です。★★★
晴れた日に国立国際美術館のほうから。地味なようですが、一見して何の建物か分からないので結構目立ちます。
建築図鑑116 黒の多様性「国立文楽劇場」 – 博司のナンコレ美術体験2023年1月3日 9:12 PM /
[…] 黒川さんは国家レベルの建築を多く手掛けています。同じ大阪に国立民族学博物館や大阪国際会議場がありますし、東京には国立新美術館があります。 […]