2019年4月24日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★美術を超えた表現「木下直之全集 ―近くても遠い場所へ―」

Gallery A4(江東区)の「木下直之全集 ―近くても遠い場所へ―」【2018.12.7 fri – 2019.2.28 thu】を見てきました。

 

木下直之氏は大学教授、美術館館長。

美術館の学芸員でありながら、美術品という定義を疑い、独自の調査研究を続けてきました。

それらは現在12冊の本になっています。

Gallery A4とはその企画に当初から関わっており、今回はこれまでの研究成果が一同に会する場となっています。

 

美術の枠外のものを研究してきただけに、その内容は混とんとしています。

中でももっともインパクトがあったのがつくりものの展示です。

つくりものとは自分の普段から作っている農作物や日用品を組み合わせてできたオブジェのこと。

年に一度、各地で展示会が行われ、その際には使用した材料を明記するのが決まりです。

意味合いとしてはお祭りの神輿に近く、商売繁盛や豊作を願う意味もあります。

ただ神輿よりもより敷居の低い、遊戯的意味合いを強く感じます。

材料は近年では100円ショップで入手することも多いとか。

この麦殿大明神は製作者にギャラリーまで来てもらって設置したそうですが・・・

その写真を見ても単なるおばちゃんの大掃除にしか見えないところが面白いです。

どうやら大明神は分解して持ち運べるようです。

壁に掲げられた神田明神祭礼図巻をもとに・・・

その再現プロジェクトも行われたようです。

 

つくりものも色んなジャンルがあります。貝細工は専門の美術館もあり、有名ですね。

 

その他面白いなと思ったのは復興天守の研究や・・・

ゆるキャラ化する駅前の銅像の研究があります。

元々国会議事堂前にあった山形有朋像は上野公園→井の頭公園→山口県萩市と都落ちを強いられました。

これらの研究に共通することは、固定概念への疑いや、失われていくものへの興味があります。

一番大きな壁面を使った展示です。

男性裸像の股間の表現の多様さを研究しています。

 

「美術」から爪はじきにされたもの達の展示は極めて斬新な視点で、多くの発見がありました。★★★

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