過去の作品も一部カードで展示されていました。
代表作である新聞の折込チラシを模写した作品も展示されていました。
日本は
出版大国であるので紙媒体の印刷物は非常に豊富です。
DIC川村記念美術館を運営する
DICをはじめ、印刷会社には美術と関わりが強い会社や、世界的企業も多いです。
特に折込チラシのような各社が多数発行するものは競争が激しく、個性的なデザインのものが生まれます。
東急ハンズの緑を基調としたカラーリングもキャラが立っています。線と文字はフリーハンドですが、特に色の再現度は高いです。一方このようなゴチャゴチャとした情報をめいっぱい詰め込んだデザインも日本の特色かも知れません。商品のイラストは光沢が無くなりべったりと描かれているせいで元のチラシに比べると立体感がなく均一な印象が増し、より広告よりグラフィックのような効果が増しています。アンディ・ウォーホルを思わせる手法です。
今回の新作2つのシリーズを発表しています。ひとつはこのチラシと同じタッチで描かれたバイクの数々です。
書かれた文字から台湾のバイクと思われますが、デザインもペイントも日本のそれと極めて親和性が高いです。
キラキラ風なカスタマイズがされながら、妙に日常感が残っているバランスが面白いです。
どうも台湾ではバイクの改造(?)が日本より自由らしく、いろんなものがゴテゴテ付いています。本当に機能するのかは疑問ですが・・・
これは手製ベビーシートでしょうか?
これはかなり力の入ったキラキラ感です。
元の絵からするとかなりバランスが狂っていますが、これはわざと自分で描いたのか、それともパチモンなのか・・・
中には完全に物置と化してるものも。
この辺りは大阪の下町に行っても同じものが見れそうです。
もう一つの新作シリーズが日本のキオスクやコンビニで売っているような週刊誌の表紙を模写したものです。
人物画全て白目になっており、はやり平面性、グラフィック感が強調されています。
偏見かも知れませんが、バックナンバーになりそうにない、一時的な情報誌が多い気がします。
だからこそパターン化されており、グラフィックとして面白いのでしょうが。
これらの作品の集大成ともいえる、マガジンラックをひとつそのまま描いている作品も。
描かれている雑誌、書籍から見てかなり最新のもののようです。
全国どこでも同じようなパターンで並んでるところが何万か所もあるのかと思うと、不思議な感じがします。
全体として台湾の親近感を強く感じる作品群でした。
また日常のあらゆるものにグラフィックとしての面白さが潜んでいるなと気づかされる展覧会でもありました。
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