川崎市市民ミュージアムの「MJ’s FES! みうらじゅんフェス マイブームの全貌展 SINCE 1958」【2018年01月27日-2018年03月25日】を見てきました。
みうらじゅんさんはイラストレーター、漫画家、小説家、評論家など様々な肩書を持ち、一般的には「マイブーム」「クソゲー」などの言葉を発明し、流通させた人として有名です。
一方コレクターとしても有名で、もらってもうれしくない土産物を「いやげもの」と名付けるなどして膨大な数を収集しており、これまでもパルコなどで展覧会が頻繁に開催されてきました。今回美術館でのはじめての個展となります。ちなみに川崎には特に縁はないそうですが、川崎のいかがわしい雰囲気はみうらさんのキャラにあっているのではないかと(笑)
展覧会は複数の展示室にまたがる大規模なもので、第一室では子供のころの仏像ブームのスクラップブックから漫画、音楽活動などのこれまでの歩みを中心に、第二室はいやげものなどコレクションが中心になっています。しかし活動の幅が広すぎてこのような分類も無意味にも思えます(笑)
まずは幼少期の写真より。手に持っているのは大量のお菓子の袋であり、この頃からすでに収集癖があったようです。
後の人格形成に大きな影響を及ぼしたのが両親です。
この絵のエピソードとして、6歳のころ水族館に行って描いた絵が実際には水族館にいなかったクジラが描かれているとして、親が学校に呼び出されて怒られたというものがあります。このときお母さまは逆に先生にくってかかったそうで、このような子どもの特性を伸ばす方針が後の大成につながったようです。
みうらさんの特徴として何でも捨てずにとっておくというものがありますが、幼少期には両親がそれを実行していたようです。
お父様にも「怪獣ブーム」の次の「仏像ブーム」のときにカメラや密教道具を買ってもらうなど、全面的に支援されてたようです。
その仏教趣味は現在まで続いているだけあり、他のブームとは一線を画すレベルです。御朱印帳の展示もあり、ブームを半世紀先取りしてます。また内にこもった趣味ではなく、同級生に無理やり見せるなどして反応を伺い、次に生かすという「みうら出版」の萌芽が既に見えます。
学生時代はモテるためにフォークソングに走りますが、ここでも400曲以上の曲を作っているので徹底してます。その成果があってDT卒業。上はその相手の肖像画らしいです。このように何でも取っておいて公開するというのもみうらさんの特徴です。
美大卒業後漫画雑誌「ガロ」でデビュー。その前後の作品が大量に並んでいます。会場内には10~30分程度のインタヴュー動画が流れており、みうら初心者(?)にも世界観が理解できる作りになっています。
インタビューにも色々ネタが仕込まれているので、是非時間に余裕をもって来て見てほしいです。
第二室はみうらさんのコレクションが中心。「いやげもの」で有名な「2穴おやじ」や・・・
「ヤシやん」も登場。みうらさんはクオリティの低さに注目してますが、それ以前にブキミで超ほしくない。そして無駄にデカい。これ贈られたら嫌がらせ以外の何物でもないですね。
こちらもブキミ。「2穴おやじ」は量産できるという制作者側のメリットがありますが、こちらはオリジナリティ溢れており、しかもどれも「いやげ」な出来栄え。なぜこんなものが全国津々浦々で作られたのか?理解に苦しみます。
それらに比べるとこちらはまだ救いがあります。
ちょっとかっこいいけど、部屋に飾るのはやはり勘弁です(笑)
なんとみうらオリジナルモデルも登場。内容を詰め込み過ぎなとこも再現(?)
最新のブーム(?)も紹介。上の巨大な蛇はどこで売っているのか?ただのガラスケースが、こうして見ると奇怪な動物園のよう。
その他大量の土産物が紹介されていましたが、出色はカエルもの。悪意溢れる(?)造形が目立ちました。
しかし以外にももっとも惹かれたのは「カスハガ」。
「カスハガ」とは観光資源に乏しい田舎のカスみたいな絵ハガキのことですが・・・・
観光資源以前に構図とか演出とかを勉強してほしいです。
にしてもこのダメっぷり。「これは集めないと」とみうらさんが思った気持ちも分かります。
なぜか癖になるご当地ソング。音楽PVも充実してました。
ゆるキャラは等身大で登場。中央のキャラは「SPA!」という時点でもう緩くないような・・・
「アートブーム」も充実。好きなもの全部乗せの世界観。これだけでも十分展覧会になりますね。
みうらさんの膨大な作品とコレクションを並べるだけでなく、その生き方や人間性にまで言及してる点は高く評価できます。川崎市市民ミュージアムの歴代の展覧会の中でも出色です。