2018年6月24日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★現代アートを蹴っ飛ばす巨大絵画!「根本敬 樹海」

ミヅマアートギャラリー(市ヶ谷)の「根本敬 樹海」(2017/12/13-12/24)を見てきました。

場所は地下鉄市ヶ谷駅と飯田橋駅の中間あたり。池田学会田誠山口晃O JUNなど今勢いのあるアーティストが大量に所属する、実力派ギャラリーです。

根本敬さんはかつてガロに連載されていたこともあり漫画家の他にエッセイスト、映像作家などの肩書もあります。過激な作風で自ら特殊漫画家を名乗り、電波系、ゴミ屋敷などの言葉を発明した人でもあります。

今回は現代美術雑誌、美術手帖上で制作過程が連載され、鉄工島FESで発表された大作「樹海」が展示されます。

パブロ・ピカソ「ゲルニカ」

連載上では「ピカソのゲルニカのような絵を描く」と繰り返し発言しています。

「ゲルニカ」といえば、小説家の原田マハさんもテーマにした、20世紀最大の巨匠ピカソの代表作。それを向こうに回すとは・・・

その無謀なる勇気だけは誉めてやろう!

 

展示作品はほとんど「樹海」一点のみ。ゲルニカとほぼ同じサイズ (3.49 m x 7.77 m)だという本作品は、巨大すぎて展示室に斜めしか展示できないようです。

ゲルニカとの共通点は群像劇であることと、歪んだあり得ない生き物が描かれていることです(笑)特に右側の恐竜はピカソっぽい?

空中を飛び交う目玉だらけの海老寿司。やたら色艶が毒々しいまでに鮮烈です。

巨大な顔と一体化した化け猫。上にはヱヴァンゲリヲンの使徒みたいなものも。

逆さ吊りの中年と細胞のような細かい書き込み。

手から生み出される極彩色の精子、などなど色んなパーツで構成されています。

巨大絵画といえば今年個展があった池田学さん岡本太郎さんの渋谷の明日の神話などが思いつきます。

「明日の神話」は原爆とそこからの再生がテーマですが、「樹海」は何なのか?正直みうらじゅん的雑多な世界観の根本さんの脳内をぶちまけたとしか言いようがないと思います(笑)。

しかしピカソのゲルニカも御大がゲルニカ空爆に抗議した絵だと言ってるだけで、見た目は子供の妄想に過ぎません。その考えればむしろ根本さんの方がやり切った感はあります。

さて、奥の空間では「樹海」のメイキング映像が流れていました。前述の池田学展でもあったおなじみの手法ですが、これが意外と面白かったです。

左の化け猫のような生き物が初期から比較的原形を留める一方、右の剣を持った男が後にバックに追いやられているのが分かります。

両端の鬼がイメージが書き足されてどんどん存在感が無くなるなど、初期とは全く異なる絵になっています。また海老寿司も最後に書き足さたされて、おり、何重にも絵が重ね描きされているのがわかります。

池田さんは全体の構成を決めてから端から几帳面に描いていくスタイルですが、根本さんは思いつくままに、しかも絵全体の構成を度々変えるほどに自由に描いています。

色々なことを考えさせられる絵ですが、これだけの巨大絵画でありながら、どこを取っても誰とも似ていないというのもすごいです。また現代アートの画廊で巨大絵画一本勝負というのもレアな現象です。昨今の冷たいインスタレーションアートを蹴っ飛ばすパワフルな絵画です。色々な活動をされてる方ですが、これからも目が離せません。ナンコレ度★

コメント一覧

★★★日本にとってアートとは?「アートにとって価値とは何か」 – 博司のナンコレ美術体験2017年12月29日 6:56 PM / 返信

[…] 三潴末雄さんの「アートにとって価値とは何か」を読みました。 市ヶ谷にあるミヅマアートギャラリーのオーナーの著書です。所属しているアーティストは会田誠、山口晃、鴻池朋子、池田学、OJUNなどで、現在国内外で大活躍している人ばかり。現在最も勢いのあるギャラリーの一つだと言えます。 本書は三潴さんの半生とミヅマアートギャラリーの約20年の歩みを振り返りながら、日本の現代アートの「価値」について考えるという内容です。 全体を貫いているのが日本的な表現へのこだわりです。日本美術の近代史を俯瞰すると、明治維新以後日本美術は日本画と洋画に別れ、洋画は西洋のキャッチアップをひたすら目指します。戦後は国粋主義の反動から以前にも増して西洋の美術を尊ぶようになりました。三潴さんの上の世代になる70、80年代はセゾン美術館が次々に欧米のアーティストを紹介。それとともに西洋に認められた日本のアーティストを紹介しました。しかしその国内アーティスト(とキュレーター)の多くは西洋へのコンプレックスを丸出しで、極めて植民地意識の強いものでした。 三潴さんは上記の国内アーティストが国内より欧米の評価が高く、欧米によって支えられていることを問題視しました。結果、日本の古美術との連続性を感じられる、土着的なアーティストが三潴さんの周囲に集まるようになります。 […]

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