2019年2月16日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★ジャンル横断「横浜美術館コレクション展 リズム、反響、ノイズ」

横浜美術館「リズム、反響、ノイズ」【2019年1月4日(金)-3月24日(日)】を見てきました。

特別展イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるものの関連展示ということですが、正直関係性も、展示のテーマも見えてきませんでした。

強いて言うなら1910年代以降の芸術運動を俯瞰するということでしょうか?

後半はジャンル横断的な作品が多いです。

ただいつもシュルレアリスム絵画が展示してあった円筒の部屋や、最後の写真展示室も流れに取り込んで内容を大きく変えてあったので、見ごたえはありました。

 

ヴァシリー・カンディンスキー「網の中の赤」

抽象絵画はカンディンスキーから始まったとしていました。

クルト・シュヴィッタース「メルツ絵画1C 二重絵画」

こちらは抽象というよりダダの要素が強いシュヴィッタースメルツ絵画

路上に落ちていたものをそのまま貼り付けるという時代をダイレクトに取り込んだ作品です。

クルト・シュヴィッタース「メルツバウ」

メルツバウという室内の形を変える大型作品も海外にはあるみたいで、一度見てみたいです。

一方ソ連の作家では、アレクサンドル・ロトチェンコの立体作品と写真がまとめて展示されていました。

アレクサンドル・ロトチェンコ(左上)「非常階段」(左下)「バルコニー」(左上)「グラスとライト」

写真作品は新しい建物や機械、文化などの面白さをダイレクトに表現していました。

これらを抽象化して立体作品を作っていたようです。

ジョージ・グロッス「エドガー・アラン・ポーに捧ぐ」

抽象だけでなく、郡上絵画も展示されていました。

しかし後のポップアートのような非現実的な色使い、構図になっています。

どことなく上のシュヴィッタースの絵画に似てるような・・・

ジョセフ・コーネル「オブジェクト」

コーネルも時代の流れに従って(?)写真を使った作品を残しています。

 

戦後の部屋になると一気にポップ、カラフルになります。

 

ナウム・ガポ「空間の構成」

ロシアからの亡命者の作品です。

真ん中に鉄管内を掃除する道具みたいなのが付いていて面白いです。

 

齋藤義重「カラカラ」

齋藤氏の作品がまとめて展示されていました。

キャンバスに木をくっつけ、穴を開けてビニール線を引っ張っています。

つり橋のような緊張感のある面白い作品です。

 

齋藤義重「クレーン」

こちらもクレーンを抽象化した作品のようですが・・・

ちゃんと糸で小石?のようなものを吊っています。

齋藤氏はのちのもの派に影響を与えたといいますが、実際はかなりユーモア作家だったのでは?

 

元永定正「作品」

具体の作家も複数展示されていました。

何かが噴き出てくるような力のある作品です。

 

中原浩大「ConS:KconWS_6p」

次の部屋はいよいよ現代美術です。

中原氏のこの作品は大きさの違う巨大な6枚のキャンバスに、これまた大きさの違う黒い円が書かれているだけというものです。

黒い円は一切光を反射せず、アニッシュ・カプーアの立体作品と同じように、奥が見通せません。

まるでブラックホールに吸い込まれるような感覚に襲われます。

 

八木良太「ポルタメント(ヴァイオリン、ホーメイ、シンセサイザー)No.2」

レコードプレイヤーをろくろとして回す音と映像、器を組み合わせた作品です。

展覧会テーマ「リズム、反響、ノイズ」にもっとも沿った作品です。

 

高嶺格「水位と体内音」

これも展覧会テーマに沿った作品です。

プロジェクターを水を張った水槽のガラス面に投影するというもの。

映像は泳ぐ裸の女性のようですが、作品の性質上、絶妙にぼやけています。

女性や彼女の吐く泡はガラス面だけでなく水にも投影され、立体映像のように見えます。

 

その次の部屋は日本画を中心とした展示です。

マコト・フジムラ「復活2」

短冊状の和紙に紋様が描かれた絵画が祭壇のように並んでいます。

近づくと中央の棒状のものも和紙に描かれた絵画でした。

隣同士の絵画は繋がっているものとそうでないものが混ざっており、独自のリズムを形成しています。

 

三瀬夏之助「日本画滅亡論」

三瀬さんの作品にしてはこれでも小さい方です。

日の丸を思わせる赤い丸が散りばめられています。

墨で描かれた絵の上に様々な印刷物がそのまま貼られています。

そのまま海外の文化の侵略にも見えますが、下に描かれた墨絵も伝統的な日本画のモチーフとは全然違います。

むしろ日本画の滅亡を祝しているかのようにも見えます。

三瀬夏之助「日本画復活論」

こちらは復活論ですが、やはり日本の風景は描かれておらず、西洋の家々が並んでいます。

復活を思わせるのはバックに描かれた日の出だけです。

やはり「滅亡論」のようが楽しそうに見えますね。

 

桂ゆき「はだかの王様」

最後の部屋は反復のある絵画を集めています。

桂さんのユーモア絵画。

一般国民は顔だけたくさん描かれていますが、新聞広告の王冠とふんどしをつけた王様を嘲笑しているようです。

 

 

石田高志「光の落ちる場所」

絵画を描く過程の動画と、その完成品の組み合わせの作品です。

上から落ちてくる光が描いているかのような幻想的な動画が特徴です。

 

宮川香山「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒大香炉」

最後に宮川香山氏の立体陶器(?)

すごい大げさなタイトルがついてますが、要は寝ていた猫が起きただけなんですが(;^ω^)

猫のキバまで再現されているのが、リアル過ぎてちょっと不気味です。

 

ジャンル横断の大型作品が多数出品されており、いつになく充実したコレクション展でした。★★★

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