2019年4月18日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★動きと時間「MOMATコレクション」

東京国立近代美術館の「MOMATコレクション」【2019.01.29-2019.05.26】を見てきました。

下の階でやってる「福沢一郎展」に合わせてシュルレアリスムが増量する、ということもなく普段どおりでした。

かなり広い展示室で東京都現代美術館が休んでいる間は横浜美術館と並んで貴重な現代美術の常設スペースになってきました。

特に見どころだと思う作品をピックアップしていきたいと思います。

 

6位.アレクサンダー・カルーダー「モンスター」

カルーダーの作品は天井から吊るすモビールと床に置くスタービルがありますが、これはその中間です。抽象的な作品が多い中で、露骨に生物的タイトルがついている珍しい一点です。

角(?)の細かい造形が面白いです。

 

5位.フランシス・ベーコン「スフィンクスーミュリエル・ベルチャーの肖像」

2013年に個展があったベーコンの一点。

エラそうなタイトルがついてますが、モデルはベーコンの友人です。

金ぴかな額縁とビビットな色使いはその後誰も真似しておらず、きわめて個性的です。

ミニマムな表現で部屋のような線が引かれているのも特徴です。

この作品独自の要素は下半身が角材のようなものと融合している点で、ねじれた人体に続く新機軸といえそうです。

 

4位.リンダ・ベングリス 「ナウ」

作者自身が登場する映像作品です。

ビデオによって3人に増殖した作者同士が「今?」「今なの?」といい合ってるだけの作品です。

ビデオという新しいメディアの面白さをストレートに表現した作品です。

ビデオである時点で「今」であるはずはなく、また作者が3人いることも「今」を否定しています。

自分同士で争うドラえもんの作品を思い出しました。

 

3位.小川原脩 「成都爆撃」

最近現代美術の展示面積が増え、ますます東京都現代美術館との区別がつかなくなってきた近美ですが、他の美術館にない特徴があります。それが戦争画の部屋。ほとんど国内唯一ではないでしょうか?

下界の「福沢一郎展」でも戦争画が描かれていますが、これは図版のひき写し。そもそもシュルレアリスムほど戦争画に向かないジャンルもない気がします。

この作品以外にも戦争画は巨大なものが多く、結構楽しめます。実際に闘うわけではないからこそ、画家の想像力や独創性が試されます。

 

2位.中原浩大 「Beads [exp. 01]」

プラスチックのビーズを貼り付けて制作された絵画(?)

上は「隣同士別の色を使う」というルールに基づき、ランダムに並べただけ。

下は作品の作りかけのように見え、まさにビーズで遊んでいる状況を再現しているかのようです。

作品としてみなせるギリギリの境界線上を攻めるかのようです。

静岡横浜でも作品を見ましたが、お互い全く共通性が見られません。

会田誠さんも大概作品が多様ですが、まだ会田さんらしさみたいなものは見えます。

一方中原氏はらしさや共通項みたいなものが全く見えず、毎回違う作品でよくショーバイが成り立つなと感心する次第です。

 

1位.アンソニー・カロ「 ラップ」

新収蔵品らしいです。

ビビットな色で塗られた鉄骨というのはいつも通りですが、いつもと違うのは台から滑り落ちているということ。

これはかなりの発明な感じがします。

カロは鉄骨に色を塗ることでモノっぽさを消し、彫刻として成り立たせました。

一方動きを表現したいということは多くの画家や彫刻家が考えてきたことでしたが、カロは彫刻が台から降りているところを表現し、過去の試みを軽やかに越えた作品を作りました。

 

コレクション展も地味に作品が入れ替わるので、ちょくちょくチェックした方がいいですね。★

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