• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★建築図鑑87 子どもが元気になる博物館「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」

茨城県坂東市のミュージアムパーク茨城県自然博物館に行ってきました。

 

設計は仙田満氏。

子供向け建築を多数作っている人です。

博物館の周囲に広大な屋外観察所がつくせいか、最寄りのバス停から1km近く歩きます。

ただ位置的に埼玉県との県境にあり、都心からのアクセスは悪くないです。

木々に見え隠れしつつ、ようやくその全貌が見えてきます。

外観的な特徴は博物館のロゴにもなっているツノのような屋根です。

ただ屋上に上がってみる限りでは特に機能はないよう。

外から見る限りではこのツノ以外に特色はあまりなく、外部、内部とも2色のタイル張りという抑えた色合いをしています。

木々に埋もれるように建っていることからも、仙田士はあまり外観で目立つ意図がなかったようです。

3階は現在展示がないので、2フロアの構成です。

入り口は2階にあり、展示を見つつ1階の図書室、レストラン、ショップに至り、そのまま野外観察所に行くという動線がとられています。

 

本建物は仙田氏の子供向け建築の中でも最大級のものです。

そのため、子どもをのびのび育てる建築とは?という長年の研究成果というべき作品となっています。

最大の特徴は建物を貫く太い廊下を設け、そこを一種のインデックス空間にしていることです。

ここには自然光を入れてメタセコイアの木を移植したのをはじめ、ヌオエロサウルスの骨格模型など、広い空間を生かした巨大な展示物が並んでいます。

 

子どもたちはより詳しく知りたい場合は各展示室に入っていくこともできるし・・・

逆に飛ばしたい場合は一気に1階のショップや図書室に行くこともできます。

天井からはセイヨウタンポポの種子を130倍に拡大して吊っています。

インデックス空間は太い道、細い道、うねった道、直角な道、階段、スロープなど不必要なほど多様性に富んでいます。

これは仙田氏の遊環構造という理論に基づいて設計されています。

遊環構造はショートカット、シンボル性、巡回する道などから構成されます。

ショートカットは黒川紀章氏が国立民族学博物館で実施済みですが、あちらはあくまで直線の建築。こちらは老若男女が自由にカスタマイズできるより有機的な建築になっています。

 

建物の中央を貫く廊下であるにもかかわらず、外部との繋がりが強いのもうまい設計です。

 

 

他にもいろんなものが吊ってあります。中でもダンクルオステウスと・・・

メガニウラはいろんな角度から見れます。

 

ここからは各展示室の見どころを紹介します。

①宇宙の展示室は廊下部分の太陽系の再現が美しいです。

 

②地球の展示。赤いブロックと格子の展示が宇宙の青い展示室と好対照です。

 

自然博物館ではお馴染みともいうべきロボット恐竜。羽毛が生えているのは最新の研究成果でしょうか?

 

③自然のコーナー。北茨城で網にかかった1.5トンのウシマンボウ

おそらく最大のインスタ映え空間。

森の生き物たちを100倍に拡大したインスタレーションです。

セズジアカムカデをはじめここの虫は触角などが動きます。

アカツノカニムシと捕食される寸前のシロトビムシ

地中にはフトミミズまでいる徹底ぶりです。

 

未来的なデザインのかっこいい展示什器。

中は鳥の巣を再現しています。

キジバトの巣はとってもシンプル(やっつけ仕事?)

ミソサザイという鳥の巣です。

コケは保湿に役立ちそう?

メジロの巣。コンパクトで可愛いですが、巣自体もクモの糸を集めてきて吊り下げるのだそう。

ウグイスの巣。工芸品的な美しさ。

 

海の生き物の巨大な展示。

茨城県沖で写真の左右の親潮と黒潮が中央で出会うところを再現。

上はミンククジラも骨格模型。

後ろの黄色い箱は深海探査船で内部はシアター。

中央の潮が出会う真下はカツオの魚群。海面上では海鳥が群がっています。

展示ケースの上を水面に見立てるというアイデアは初めて見ました。

手前はバンドウイルカ

一方1、2階を結ぶスロープでは淡水魚を中心に展示。

こちらも水上と水中を立体的に展示してます。

淡水→汽水域→海をスロープに合わせて段階的に展示してます。

 

④生命のコーナー。巨大なT₄ファージ(いわゆるウィルス)の模型をはじめ・・・

各生物の目から見える世界を体験できたり、インパクト、教育性ともに高い展示が多いです。

 

⑦茨城の自然。空間が一気に普通になってしまうのがとっても不満。展示のマニアックさは相変わらずですが・・・

 

⑧企画展示。収蔵品をフル活用しつつ、個性的な展示が行われています。

このときはくだもの展

空間構成もステキです。

 

レストランも充実してます。

写真はくだもの展限定のフルーツハンバーグ

席が少なく、混みやすいのが難点です。

 

一旦外に出て屋上へ。動線に組み込まれていないせいで、あまり訪れる人はいません。

唯一屋根が間直に見れるスポットです。

屋上から博物館のほうを見たところ。

建物間にも背の高い木を植えているせいで、やはり全体は見通せません。

のこぎり状の屋根は自然光を入れるのに役立ってると思われます。

屋上からの眺め。仙田氏が最大の展示物と言った菅生沼が見えます。

菅生沼、野外観察所も博物館本館とともに17時閉館なので、見るつもりなら早伊時間から行った方がいいです。

菅生沼観察用の木造橋。なかなか雰囲気があります。

冬なので水鳥くらいしか見れませんでしたが、季節が違うとまた違うのでしょうか?

再訪してみたいです。

 

空間構成、展示ともに極めて濃密です。

上野の国立科学博物館と比べると、規模は全く敵いませんが、空間の自由度はこっちの圧勝。是非一度体験してほしいです。★★★

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