横浜美術館「横浜美術館コレクション展 全部みせます!シュールな作品 シュルレアリスムの美術と写真」 【2017年12月9日(土)-2018年3月4日(日)】を見てきました。

サルバドール・ダリ「バラの頭の女性」

横浜美術館は常設展よくでダリマグリットの大きな作品を展示しており、シュルレアリスム美術が多いなと思っていましたが、今回は常設展示室全てを使い、シュルレアリスム関連作品のみを限界まで展示しました。その数約300点

 

イヴ・タンギー「風のアルファベット」

当然ながら、お馴染みの作品も展示されています。タンギーはシュルレアリスムの指導者、アンドレ・ブルトンの理論に最も忠実な作家ですね。生物か非生物かも明らかでない謎のオブジェ群未来SFの悪夢的結末を思い浮かべます。背景の乳白色も濃霧の奥に何か潜んでそうで想像力を掻き立てます。

金氏徹平「Tower」

オブジェの造形は小説「コンビニ人間」の表紙にも使われた金氏徹平さんへの影響も見えます。

マックス・エルンスト「少女が見た湖の夢」

だまし絵的楽しさに溢れるエルンストの作品です。

中央の牛以外にも何十匹という動物が隠れています

絵の上部には動物の頭を重ねたような謎の造形。

細かい森の描き込みは今年大規模個展があった池田学さんにも共通します。

マックス・エルンスト「オイディプス25」

エルンストは絵画のフロッタージュ(こすり出し)、コラージュ、デカルコマニーなどの多彩な表現も魅力です。作風が多彩過ぎてダリの時計やマグリットの山高帽のような特定のアイコンがないので、彼らに比べると知名度で劣りますが、その分何が飛び出すか分からない楽しさがあります。

ジョアン・ミロ「花と蝶」

珍しいミロの静物画。花瓶に対して異様にでかくて幾何学的な形状の枝葉が無理やり押し込められてる感がハンパない。花瓶に書かれた草花のほうがよっほど本物らしいのも面白いです。

 

オットー・ディックス「仔牛の頭部のある静物」

あまり聞いたことのない作家の作品も多いです。牛の頭部の骨を静物画の題材にすることもありますが、ここでは「今絞めてきました」といった雰囲気の鮮血生々しい牛の頭が置かれています。こちらを見ている目は今にも動き出しそうで不気味さを増幅させます。

リシュアン・クートー「西洋杉の姉妹」

腹から声を出す」というのが比喩ではなく物理的に実現しそうな作品です。手に持っているダウンジングのような棒も謎です。ネットで画像検索するとウルトラセブンの宇宙人を数倍シュールにしたような人物(?)をたくさん描いてるみたいですね。

ヴォルス「無題」

ウンボ「夢見る女たち」

300点といってもその大半は写真作品です。ほとんどは素通りしましたが、中には「なんだこれは!」というものがあったり。

北角玄三「鉄扇居士」

北角玄三「マルボ詩」

海外勢に比べて国内勢の作家はそこまで充実してませんが、それでも面白い作品が多数出品されてます。北角玄三の作品は海底の生き物たちを色彩や構図の操作によって全く別物にしてしまっています。浮世絵っぽい質感も面白い。

小牧源太郎「婚姻図」

日本の伝統的な色彩や習慣を用いつつ、全く新しい世界観を獲得しています。ちょっと顔のようにも見えますね。

 

ちなみに特別展は石内都。このポスターも相当シュールですね。

 

お馴染みの作品に加えて新しい発見も多数あり、シュルレアリスムといっても実に多彩な表現があることがよくわかります。ナンコレ度★★