スパイラル(青山)の「UTOPIA & CHAOS」【2018/2/26-3/13】を見てきました。
作家の作品の中に潜むユートピアを考える展覧会です。いつもの巨大なホールを使わない小企画ですが、作品は充実してました。
うち久野彩子さんの作品は球体や立方体から都市が四方に立ち上がっていくような作品です。同じような作品が2017年の首都高展にも出てましたね。
野放図に成長を続ける都市の表現は、新宿駅や渋谷駅で見られる、無限に続くかに見える拡張工事を思わせます。
一方クスミハルカさんは自分で撮った写真の合成のみで作品を作ります。
新宿第2庁舎は分かりますが、それ以外の建物は没個性的で特定できず。東京では遠近の重なりで、無関係な建物同士が重なって見えることは実際よくあります。
こちらは有名な黒川紀章氏の「中銀カプセルタワービル」がベース。本来使い捨てのカプセルを半世紀近く使い続けた結果、外観はリアルで半廃墟化してます。いっそこの作品のごとく廃墟のテーマパークに改造できないものですかね?
それ以外の作品も謎めいてます。海岸はあらゆるものが流れつくイメージがありますね。軍艦、団地などどれもノスタルジーを感じさせます。
六甲ミーツアート2017にもでてた榊原澄人さんは動画作品を2点。「E in motion no.2」は機動隊、サーカス、カーニバルなど色んな要素が絡み合った群像劇です。画風はアンリ・ルソー風かと思えば、ボス風地獄絵図も出てきます。
「FLOW」はある女性の誕生から晩年までがエンドレスで流れ続ける不思議な作品。町の女性は全て同一人物で、その同じ人物である老婆と少女が邂逅したりします。
小企画ながら多彩で尖った作品が多くて楽しめます。★