ギャラリーAAMO(文京区)の「バットアート美術館展」【2018年11月22日(木)~2019年1月14日(月・祝)】を見てきました。
アメリカのボストン(マサチューセッツ州)にあるバットアート美術館の収蔵品の展覧会です。
解説によるとバットアートとは何か伝えたいことがあるのに、その手法によってどうもおかしな方向に行ってしまった作品の総称だそうです。単に低クオリティの作品を指すわけでなく、実際大変高度な技術を使った作品もあります。
展示作品の中にはゴッホやアンリ・ルソーやパブロ・ピカソを思わせる作品もあり、バットアートの境界線も難しいものがあります。結局バットアートとはハイアートから爪はじきにされた作品の一部が救済されたもの、としか言えないのかもしれません。実際収蔵方法も「マサチューセッツ州のリサイクルショップで購入」とか「マサチューセッツ州の作家から寄贈」とか言うものが多数あります。
ちなみに本作のように作家が不明確な作品も多数あります。
ジャンル分けが面白いことになっています。ここはそっくりさん特集。
当然保存状態の悪いものも。合板に描かれたものが多数ありました。
本作は胸毛に見えるものが実際にはカビだそうです。
ただキャプションによるともはやカビも作品の一部と定義しているようです。
シュルレアリスム調の作品に面白いものが集中してました。本式のシュルレアリスムも「手術台の上での蝙蝠傘とミシンの出会い」なんて言葉もあるし、バットアートと親和性が高そうです。これはどう見てもダリ風。
動物を描いている作品も面白いものがたくさんありました。
シマウマ。鏡。枯れた木。
ギャラリーを馬小屋にしたヤンス・クネリスを彷彿させます。
手前の鳥だけなら普通の絵。解説によると人類と動物の関係性に疑問を呈した作品だそうですが、それより奥にあるオリがエッシャー調なのが気になります。
ヒーローもの?の恰好をした鳥人間とチキン料理の組み合わせ。
内装もステキ。クオリティの低さがルソー的魅力を放っています。
色調や描いている対象は典型的な退屈なインテリアアート。でも取り合わせが絶妙な効果を生んでいます。
赤いひびが入った「考える人」と量産型の抱き合う人の彫刻。
メッセージがあるのかも知れませんが、誰も分析してくれないかも?
他にはSF調の作品も。作者は環境保護を訴えたかったのかもしれませんが・・・
本作は会場で宣伝されていたLINEスタンプでも使われていました。
スポーツものではこちら。キャッチャーの背後霊(?)は元々描いてあった別の絵の消し残し?それがなければ平凡な絵なのですが・・・
会場内で流れていたインタビューではバットアート美術館の成り立ちが紐解かれていました。
もともとは自宅で限定的に公開していた展覧会が常設の美術館に進化したもののようです。
解説(というかツッコミ)にしりあがり寿氏を起用しているのもポイント高いです。
「良い絵とは何なのか?」ということを考えさせられる展覧会でした。
前回のイグ・ノーベル賞展といい、ギャラリーアーモは侮れませんね。★★★
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