今回は五反田の「東京デザインセンター」に注目してみたいと思います。
設計はイタリア人のマリオ・ベリーニ。建築家としてより、椅子などのデザイナーとして有名です。
敷地は五反田駅から徒歩3分ほどの電車内からも見える立地ですが、この敷地、いろいろ問題を抱えていました。まず、
➀敷地が前面道路方向に長い長方形状
これだけなら大して珍しくもないのですが・・・
②道路正面に別の建物が食い込むコの字型の敷地
上の画像の凹部分は別のビルが既に建っていました。
中央のガラス張りの建物がそうで、店舗、事務所を構える上で相当マイナスでした。その上・・・(新建築より)
③急斜面上の土地
土地は道路から背後に向けて崖のような急斜面になっており、道路側の
1,2階部分はろくに店舗の入れられない状況でした。
このような三重苦に対して、ベリーニが出した結論は・・・
この道路から60°の角度を持つ階段でした。
階段は3階まで続きます。アイ・ストップには唐突にイタリアの彫刻家ミモ・パラディーノの馬の彫刻。
階段の上から見下ろしたところ。ヨーロッパの古い迷宮都市をヒントにしているのも知れません。
建物の裏側も相当キテレツな光景。植木鉢(?)が並んでいるのはイタリアの庭園風なのかもしれませんが、日本の植生にあっておらず、奇怪です。また階段の上にも斜面は強引に回遊式庭園にしてますが、その先の民家でぶった切られており、回遊できない(笑)せっかく建物をぶち抜いてガレリアを通しましたが、道は建物の裏には通じてないのです。
立面図で見ると、ガラス円筒のエレベーターホールや整然と並んだ植木鉢が決まってますが、実物は良くも悪くも植物に侵食されてます。
ちなみに正面は開口部に石の扉のような飾りがついていて、なかなかクール。
入居企業の案内ボードもオシャレ。やはり中層階が一番広いのでしょうか?
イタリア人デザイナーも日本の土地の特殊事情には敵わず、キテレツな建物が増えただけでした。とはいえ五反田駅前でちょっとした冒険気分が味わえるので、そういった意味ではおすすめです。★
一歩も歩かず建築ツアー!山手線から見える建物だけ集めてみた。 – 博司のナンコレ美術体験2019年6月10日 5:41 AM /
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