横浜能楽堂の「昼ぬ修羅」【2019年1月19日~3月23日】を見てきました。
横浜市内とはいえ、山の上にあるので結構不便です。
現代芸術家・山口晃さんの個展で、普段はお年寄りばかりの能楽堂に若者が押し寄せると思うとおもしろいですね。
建物はかなり立派で、こんなところにも若者と年寄りの所得格差が出てる気がします。
2018年は馬の博物館で個展をやったりしてるし、これが山口氏のマイブームなんでしょうか?
現代アートファンとしては普段いけないところに行けるので楽しいですが。
一階のショップの一角に置かれた時計も作品です。
といっても山口氏が作成した時計したわけではなくて、デュシャン的なインスタレーションという意味ですが。
行った時間がほぼ無人だったせいでこの時計の音が会場に響き渡ってました。
不協和音の効果を狙ったのかも?
2階の休憩所を封鎖した作品。
休憩所内は食器類が整えられ、歓迎の準備万端ですが、実際には入ることはできません。
非常にキッチリと封鎖されている一方、テレビや案内板などが壁側を向いているのもポイントです。
このインスタレーションの意図はイマイチ分かりませんが、芳一が感じた不気味さは共有できるかも?
その先の展示廊と呼ばれる空間のみ、本来の山口さんの絵画作品が展示されています。
ただ、絵画以外にも色んなモノがゴチャゴチャ置かれています。
絵画の正面にわざとガラスの継ぎ目が来るように配置されています。
特に気になるのが足元に置かれたコレ。
現代的快適さの中で能を見ることの不自然さを表したものでしょうか。
毛利悠子氏辺りがやりそうなインスタレーション。
山口氏の普段の作品からするとこんな作品はラクショーみたいに思うんでしょうか?
ジョジョ立ちな頼朝も気になりますが、それ以上に手前のリモコンのようなモノが目を惹きます。
能楽堂内で手に入るものを並べたのでしょうか?
にしても鉄人28号を操作しそうなリモコンです。
これはもしや頼朝は北条政子のロボットという暗示?
2枚の巻物を組み合わせて色んな絵ができるから自在絵というわけですが・・・
コレは一体何なのか?
合戦の絵なので鉄砲を模しているのは分かるのですが、何をする道具か全くわかりません。
角の部分はかなりゴチャゴチャしたインスタレーションになっています。
ガラスケースの外までインスタレーションがはみ出てます。
かなり過剰気味の案内板もいい感じ。
展示の最後はビデオコーナー。もともとは能を見るためのもののようですが・・・
3つのモニターはそれぞれ関連した動画が流れています。
左はこの能楽堂の地下駐車場と思われる空間を半透明の能役者が徘徊しています。
真ん中のモニターはほとんど動きませんが、右のモニターは仮面をつけた男が能楽堂内を徘徊するというものです。
それっぽい恰好をしていますが、実際には能楽堂の備品室から取ってきたゴミ袋など、ありあわせの衣装です。
能楽堂内の備品で遊んでみたり、車に驚いたり、タイムスリップしてきた男を演じているみたいです。
この展覧会、作品リストに載ってない隠し作品があるのも面白いです。
例えば、入口脇の傘立てはこんな感じです。
そう考えるとあれもこれも作品?と思えてきます。このあいまいな状況こそ、脳の世界で言う幽玄なのでしょうか?
解説には普段の絵かきとしての山口さんではなく、現代芸術家・山口晃の展覧会と書かれていました。
小さな企画ですが、作品の質は高く、意外と見ごたえがあります。普段と違った体験ができることは間違いありません。★
会期:2019年1月19日~3月23日
会場:横浜能楽堂
住所:神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘27-2
電話番号:045-263-3055
開館時間:9:00〜20:00
休館日:1月21日、28日、2月4日、5日、6日、26日、3月4日、5日、6日
料金:無料(ただし本舞台有料公演時は要チケット)