平塚市美術館の「岡村桂三郎展-異境へ」【2018年4月21日(土)~6月24日(日)】を見てきました。
岡村さんの作品は巨大で分厚い木板の屏風に木炭で描くという独特の手法がとられています。
ただ展示では入り口のところでそれ以前の小さい作品も出品されています。ここからディテールをそぎ落として後の作品になったと思われます。しかしこの初期の作品も昆虫のようで面白いです。
またこの作品は実際の門をベースに制作されていると思われます。門の表面に執拗に取り付けられたしめ縄や板は何かを封印しているようにも、見えるし、また門自体が独立した生き物のようにも見えます。
今回の展示の特徴は岡村さんの絵画自体が通路を形成していることです。通常間仕切り壁をもって空間を区切っていきますが、今回は岡村さんの屏風型の絵画自体がその役割を担います。
しかも後ろに行くほど屏風は巨大化しているため、手前から奥の作品の一部が見えており、期待感を高める演出が凝らされています。
屏風で洞窟のような空間を作ることは絵画と鑑賞者の間に適切な距離が取れず、絵画を見る環境としては適切といえません。今回は絵画鑑賞より岡田さんの絵画のインスタレーションに溺れる体験を優先した形です。
始めの狭い通路を抜けると、より大きな作品が飾られた広い空間に出る演出がされています。
神々の姿を描いたものが多いですが、人(?)を描いた作品も気になります。
オリジナルティ溢れる生き物が簡易なタッチで描かれています。中にはもはや生き物に燃えないものも。
ひっかき傷のようなものがついていますが、描かれているのは巨大な生物の一部でしょうか?
平塚市美術館はいつもかなり挑戦的な展示が多いのですが、今回は単なる箱型の展示室でもこれだけのインスタレーションを展開できるということを示してくれたことは大変有益でした。
同時開催のタグチ・アートコレクションも充実の内容で、多少遠くても足を延ばすにはまたとない機会だと思います。
2018年上半期ベスト10 – 博司のナンコレ美術体験2018年7月3日 5:41 PM /
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